Case Studies

拠点クラウド間専用線接続

既存専用線接続の可視化により新規拠点クラウド間を接続


既存専用線接続を活かしながら新規拠点クラウド環境構築と相互接続を実現

InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。

Goal

目指した姿

・新規拠点向けにクラウド環境を構築

・既存専用線接続を活用した拠点接続

お客様が実現したかったこと

お客様が今回目指していたのは、まず新規拠点を開設するにあたり、従来とは異なるITインフラの構築によって事業競争力の強化を図ることである。新規拠点向けには、クラウドの持つ柔軟性、高い拡張性、コスト効率に着目し、従来型のオンプレミス構成に依存しない最新の技術基盤への刷新を推進したいという方針があった。クラウドの導入により、物理的なサーバ調達や拠点ごとの個別構築にかかる時間的・人的負担を解消し、必要なリソースを迅速かつ容易に拡張、縮小できる環境を求めていた。特に新規拠点の立ち上げに伴うシステムの柔軟な展開、業務内容や利用規模の将来的な変化への即応、IT運用の効率化と管理負荷の削減を実現することが重要な目的とされていた。

さらに、お客様は社内システムの高いセキュリティレベルと安定した通信品質を維持するため、既存の専用線接続という信頼性の高いネットワークインフラを最大限活用したいと考えていた。そのため、新規拠点のクラウド環境と既存のデータセンターや他拠点に構築されたシステムとの間に、従来から活用していた専用線接続を拡張し、クラウドと企業ネットワークが一体となる通信基盤を構築する方針を掲げた。これにより、クラウドとオンプレミス環境間の通信は常に専用線を経由する形となり、インターネット接続に比べて高いセキュリティ、低遅延、安定した通信が担保される。運用面でも、既存拠点に蓄積されたネットワーク管理ノウハウやセキュリティポリシーをそのまま新規クラウド環境にも適用できるため、拠点間・クラウド間で統一されたルールと管理体制を維持することが可能となる。

加えて、新規拠点の業務開始にあたり、専用線接続経由で社内の各種基幹システムやアプリケーションへのセキュアなアクセスを迅速に実現したいという要望もあった。例えば、受発注システムやグループウェアなど、クラウド上に構築されたサービスと社内システム間で大容量データや機密情報が日常的にやり取りされるため、通信経路のセキュリティおよび可用性の確保が事業継続の観点からも非常に重要であった。新規拠点の利用開始後も、専用線で拠点間とクラウド間がシームレスにつながることにより、新たな業務やサービスが生まれた際もインフラ面で制約なく展開できる体制を築きたいという戦略的な意図があった。

このように、お客様が実現したかったのは、単なるクラウド環境の新規構築にとどまらず、既存ネットワーク資産と最新クラウド技術を融合した通信基盤の確立である。拡張性・柔軟性・セキュリティ・運用効率――これらすべての要素を両立した次世代のITインフラを新拠点にも展開することで、持続可能な事業成長と競争力強化を支える「つながる」「広がる」「守られる」クラウド活用を目指していた。

Challenge

実現に向けた課題

新規拠点のクラウド環境を構築し、既存専用線接続を活用した統合ネットワークを実現するためには、いくつかの重要な課題を克服する必要があった。

まず、新規拠点環境の設計に関しては、単にクラウド資源を用意するだけではなく、拠点ごとのワークロードの特性や事業の要件を十分に把握し、それに対応したパフォーマンス、スケーラビリティ、そして高度なセキュリティを兼ね備えたインフラ構成を検討する必要があった。拠点の業務プロセスや利用するシステムの負荷・通信量、将来的な拡張計画に応じて十分な性能を確保しつつ、不正アクセスや情報漏洩を防ぐためのセキュリティ設計も同時に実施することが不可欠であった。これら多面的な要素を最適なバランスで設計することが、拠点におけるクラウド環境の信頼性と運用効率を左右する重要な課題であった。

また、既存専用線接続の活用についても慎重な検討が求められた。新規拠点を既存のネットワークインフラへ違和感なく接続させるためには、既存の専用線接続の構成や性能、通信プロトコル、セキュリティポリシーなど現行インフラの詳細を綿密に評価し、新規クラウド環境がこれらに適合するよう設計を行う必要があった。専用線の帯域や冗長性、障害時のフェイルオーバー、セグメントごとのアクセス権限管理、運用監視体制にいたるまで、既存環境との整合性を取りながら新規拠点を統合していく作業は、技術的にも運用面でも高い専門性が要求された。また、この統合が不十分であると、新規拠点と既存環境間で通信障害やセキュリティリスクが発生する恐れもあるため、慎重な設計と検証が不可欠であった。

こうした課題を解決しながら、拠点クラウド間専用線接続の最適化と、全拠点にわたるシームレスなネットワーク基盤の実現へと取り組む必要があった。

新規拠点環境設計

ワークロードや事業特性に基づいたパフォーマンス要件、スケーラビリティ、セキュリティを総合的に考慮したインフラ構成の設計が必要であった。

既存専用線接続の考慮

新規拠点を既存のネットワークインフラとシームレスに接続させるため、既存の専用線接続の構成や性能を詳しく評価し、新規拠点がそのインフラに適切に統合されるようにする必要があった。

Solution

InfiniCoreによるソリューション

これらの課題に対する解決策として、まず既存専用線接続の可視化を徹底的に行った。既存のデータセンター、各拠点、クラウド接続ポイントなど、全ての重要なネットワークノードとその間の接続経路を網羅的に調査し、図式化することで全体の構造と通信経路を明確化した。この過程で、各区間の帯域幅や実際のトラフィックパターンを分析し、運用上のボトルネックや通信負荷の偏りを可視化した。さらに、冗長性や可用性についても評価を実施し、障害発生時の回復能力やネットワークの信頼性について課題の抽出と対策の計画を行った。

次に、新規拠点向けの専用線設計を進めた。新規拠点で必要とされるネットワーク要件を事前に具体化し、事業の成長トレンドや業務需要予測に基づいて最適な帯域幅や接続方式を選定した。それにより、将来的な拡張性や通信品質を確保しつつ、無駄なコストも抑えることが可能となった。また、専用線プロバイダの選定にあたっては、信頼性、サービスレベル、サポート体制など様々な角度から比較・検討を重ねた上で、最適なプロバイダを選定。新規拠点のネットワーク構成を詳細に設計し、既存ネットワークとの一貫性を保った統合環境の構築を実現した。

さらに、リスクの最小化と安定した運用体制の確立を目指し、フェーズ別の移行計画を策定・実施した。設計段階から段階的なスケジュールを作成し、まずはテスト環境を構築して詳細な検証作業を実施。その上で、現状業務への影響を最小限に抑えつつ、順次本番環境への移行を進めた。移行プロセスではお客様チームと定期的なミーティングや情報共有を実施し、技術支援や操作トレーニングも積極的に提供。定例のフィードバック収集や改善活動を通じて、現場の意見や要望を即時に反映し、期待通りの品質と安定性を達成することができた。これら一連の取り組みにより、拠点間およびクラウド間を結ぶ専用線接続は、高い信頼性とパフォーマンスを持ってスムーズに実現された。

既存専用線接続の可視化

既存データセンター、各拠点、クラウド接続ポイントなど、全ての重要なネットワークノードとその間の接続を詳細に可視化。帯域幅とトラフィックパターンの分析、冗長性と可用性の評価を実施。

新規専用線設計

需要予測とシステム要求に基づき、新規拠点の専用線ネットワーク設計を実施。ネットワーク要件の具体化、専用線プロバイダの選定、新規ネットワーク構成の設計を実施。

フェーズ別移行計画の実施

リスクを最小限に抑えながら新規専用線設置を実行。フェーズ別移行スケジュールの作成、テスト環境の構築と検証、逐次的な本番環境移行を通じて、全システムが正常に動作し続けること実現。またお客様のチームとの定期的なミーティングと情報共有、技術支援とトレーニング、フィードバックの収集と改善により、期待に即した品質と安定性を確保した拠点間接続を実現。

お客様サービス事例