Case Studies
クラウドガイドライン
クラウド運用の標準化と実運用との乖離を解消

Case Studies
クラウド運用の標準化と実運用との乖離を解消

属人化した運用業務の標準化を目指し 既存ガイドラインを全面的に更新
InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。
Goal
・既存クラウドガイドラインの最新化
・クラウド運用の標準化
多様化・拡大し続けるクラウド環境の運用において、組織全体で安定的かつ効率的に管理できる体制を構築し、現場レベルで発生している属人化や運用ムラを根本的に解消することだった。特に、急速なクラウドサービスの進化や新しいセキュリティ脅威、ベストプラクティスの変化に対応していく必要があり、既存のクラウドガイドラインでは実際の業務運用状況や最新技術トレンドに追いつくことが困難になっていた。そこで、古くなったガイドラインを単なる部分的な改訂ではなく、組織の現状や将来の運用ニーズ・課題も踏まえたうえで、根本から全面的に最新化し、現場全員が使いやすく、かつ信頼できる運用指針として再構築することが重要視された。
ガイドラインの最新化にあたり、現場の担当者が個々の経験や知識に頼って対応していたために生じていた運用方法のバラつきや品質管理の難しさ、ノウハウの個人依存といった問題についても丁寧にヒアリングや現状分析を実施。そこから、過去の成功事例や失敗例なども統合して、組織全体の課題共有や運用の最適解を抽出したうえで、新たなガイドラインに反映させていった。こうすることで、最新のセキュリティ要件や法令順守、クラウドサービスごとの適切な設定・運用方法まで、きめ細かく標準化されたルールを明文化できるようになった。結果として、誰が担当しても一貫した高品質の運用ができる環境が整い、属人化のリスク低減や運用体制の継続性確保が実現した。
さらに、クラウド運用の標準化を進めることで、新しいサービス導入時や人員交代時にも、過去の運用知識や手順を容易に共有でき、短期間でスムーズに現場適応できる体制が構築された。ガイドラインに基づく教育・研修や、ツール・プロセスの一元化・自動化もあわせて推進し、ヒューマンエラーの予防や無駄な作業の排除、運用効率の最大化にも貢献することができた。また、継続的なガイドラインのアップデートを通じて、今後発生し得る新たな課題や運用変更にもスピーディかつ柔軟に対応できる土台が形成された。
このようにお客様は、クラウドガイドラインの全面的な最新化と運用の標準化の両面から、「誰でも迷わず安全・確実にクラウド運用ができる組織の仕組み」を実現することを目指しており、それによってクラウドサービス利用によるメリットを最大化しながら、事業継続性や全社的な運用品質の向上、強固なセキュリティやリスク対策にもつなげていくという構想を持って取り組みを推進した。
Challenge
本事例の実現に向けては、主に二つの課題が顕在化していた。
一つ目の課題は、既存ガイドラインと推奨形態の乖離である。従来のクラウドガイドラインは、クラウド本来のスケーラビリティや運用の自動化といった利点を十分に活用できる内容となっていなかった。最新のクラウドサービスが提供する柔軟なリソース拡張や自動化機能に沿った運用が推奨されているものの、既存ガイドラインはオンプレミス環境や手動運用を前提とした規定が中心となっていた。そのため、クラウドベンダーが提示する推奨アーキテクチャ――インフラのコード化、マルチアカウント管理、高度な権限分離、ゼロトラストセキュリティなど――への対応が難しい状況となっていた。このようなギャップが、管理・運用の自動化やセキュリティ対策、リソース最適化といった先進的技術の組織的な導入・活用の障壁となっていた。
二つ目の課題は、運用業務の属人化である。クラウド環境の運用は、長年にわたり特定の担当者に依存して蓄積されてきた結果、運用方法や判断基準、対応ノウハウが個人の経験や勘に基づく形で運用されていた。ドキュメント化やガイドラインとして正式に体系化されていない状態が続いていたため、担当者の異動や退職が発生すると、引き継ぎや情報共有が十分になされず、業務に支障が生じるリスクが高まっていた。新規担当者が着任した場合も、過去の運用経験を体系的に学ぶことができず、短期間で業務を引き継ぐことが困難であり、現場の即戦力化や継続的な運用品質の維持にも課題が残った。知識やノウハウが組織の共有資産として蓄積される仕組みが脆弱であったため、標準化・効率化に向けた施策の推進も難航していた。
これらの課題に対し、ガイドラインの最新化や運用の標準化は、単なる規則や手順の見直しにとどまらず、クラウド運用における組織全体の運用力強化に直結する重要な取り組みであった。
クラウドのスケーラビリティや自動化の利点を最大限に活用できないガイドラインとなっており、またクラウドベンダー推奨アーキテクチャーでは高度な管理機能やセキュリティ対策を含んだ運用が求められるものの、現行ガイドラインでは対応が困難であった。
長年にわたる運用業務の積み重ねの結果として属人化。特定担当者によって管理やメンテナンスが行われ、知識やノウハウが文書化されず、組織全体で共有されていない状態となり、担当者の異動や退職に伴い運用に支障が出るリスクが高まり、また新規担当者が迅速に対応を引き継ぐことが困難であった。
Solution
課題の解決に向けて、まず最初にガイドラインの全面更新を進めた。従来のガイドラインは技術進化や運用現場の課題に追随できていなかったため、クラウドベンダーが提供する最新のサービス概要、運用事例、グローバル水準のベストプラクティスなど外部情報を網羅的に調査・収集して反映した。それだけでなく、セキュリティ面では権限管理や監査対応、ゼロトラストネットワークモデルの採用、脅威検知・対策プロセスなどを明確にルール化し、パフォーマンス向上に向けてはリソースの拡張性確保、料金最適化、障害発生時の迅速な復旧フローを細部まで盛り込んだ。自動化・効率化への対応としても、インフラのコード管理、ログの集約・分析、運用タスクの自動化を推進する運用ガイドを策定した。新しいガイドラインは、技術的発展や事業規模の変化にも柔軟に追従できる内容となり、将来の組織成長や新規サービスへの展開にも適応可能な土台となった。
こうした最新化されたガイドラインと現場の実運用との乖離を解消するために、現場で実際に発生している個別ケースや作業フローを丹念にヒアリングし、運用手順書を一つ一つ作成した。例えば、システム設定やアクセス管理、障害対応などについて、具体的な操作手順、判断ポイント、必要なチェックリストを詳細に文書化し、誰が担当しても迷わず対応できるレベルまで落とし込んだ。それぞれの手順書は現場とのすり合わせを重ね、実際のオペレーションで活用しやすい形式・内容とした。加えて更新サイクルも明確化し、技術や運用の変化を速やかに反映できる体制を整備。こうすることで、業務の属人化を防ぎながら、確実に新ガイドラインに沿った一貫した運用を現場で定着させた。
ガイドラインと手順書の整備だけでなく、運用現場で新たなルールや知識を実践的に定着させるため、スキルトランスファー施策も強化した。従来の座学研修に加え、実際のクラウド環境を使ったハンズオン型セッションやシナリオ別演習を多用し、経験豊富な担当者が現場リーダーとなって相互指導を行う体制を構築。質疑応答の場を増やし、現場の疑問や想定外の事象にもリアルタイムで対応できる仕組みとした。また、トレーニング後にはフィードバックや理解度チェックを実施し、それに基づいて手順やガイドラインのさらなる改良・最適化を図った。こうした取り組みにより、運用担当者全員が新しいガイドラインや手順に対する共通理解と高い実践力を持つことができ、組織としての運用品質と持続的なノウハウ蓄積を実現した。
この一連の解決策により、クラウド運用におけるセキュリティ・効率・品質のすべてにおいて組織全体の底上げが達成された。ガイドラインの定期更新、実運用とのギャップ解消、継続的なスキル移転のサイクルが確立し、今後の技術進化にも柔軟に対応できる強固な運用基盤の構築につながった。
クラウドベンダー提供の最新技術とベストプラクティスを取り入れ、セキュリティやパフォーマンスの向上を目指した新しい運用指針を策定。これによりガイドラインは現代の高度なクラウド環境に対応できる内容となり、柔軟性とスケーラビリティを確保するための重要な基盤となった。
現状の運用手順と新たなガイドラインの間で生じる差異を解消するため、具体的な運用手順書を一つ一つ作成。これにより現場での作業が統一され、新しいガイドラインに従った一貫した運用を実現。
担当者が新手順に精通するよう支援。技術的な知識やノウハウを経験豊富なスタッフから他のメンバーへ効率的に伝えるため、実際のクラウド環境を使った実践的なセッションを含めることで、新しいガイドラインに基づく運用手順を担当者全員による理解と適応を実現。
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