社外向けクラウド環境構築

用途の異なる社外向けシステムをパターン化しパターン毎の最適クラウド環境を実現

InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。

・社内システム用クラウド環境を社外向けとして利用

・社外システム用途別にクラウド環境実装

社外向けクラウド環境の構築に向けた取り組みの中で、お客様はさまざまな課題に直面した。その中でも重要だったのが、「社外向け用途に応じた運用」と「ニーズに応じたクラウド提供」の2つである。

まず、「社外向け用途に応じた運用」では、従来の社内システム用クラウド基盤を流用するだけでは、多様化する社外用途のニーズに十分に応えることができなかった。社外サービスには、BtoB取引先向けのポータル、エンドユーザー向けのWebサービス、パートナー企業との情報連携プラットフォームなど、用途ごとにシステムの役割や利用者層が異なるだけでなく、求められるワークロードも大きく異なっていた。たとえば、パートナー企業との連携システムでは厳重な認証やアクセス制御を中心に設計する必要があり、またエンドユーザー向けサービスでは大量アクセスへの耐性や柔軟なスケーリング、常時稼働の可用性など、さまざまなパフォーマンス要件も求められていた。こうした状況を踏まえ、用途ごとに最適なクラウドサービスやインフラ構成を選択し、ネットワークの分離やセキュリティの強化、API接続やデータ連携の仕組みを個別に実装するなど、より細かな設計・運用が必要となった。

また、「ニーズに応じたクラウド提供」を実現するためには、社外向けシステムを活用する各部門や利用者の業務フローを詳細に分析し、技術的な要件整理から始める必要があった。社外システムごとに業務の進め方や情報管理のルールも異なるため、画一的な運用ではなく、それぞれのパターンに合った技術ソリューションを構築することが求められた。そのため、クラウド利用に関するヒアリングや要件定義を何度も重ねて、日常業務でどのように使われているのか、どこまで外部公開する必要があるか、運用管理の体制や障害対応のフローまで綿密に把握し、最も適したクラウドサービスや管理ツールを組み合わせる方針を立てた。例えば、システムごとに異なる認証方式を選択し、適切なアクセス管理やID連携を設計するだけでなく、必要に応じて監視・運用ツールや自動化スクリプトも導入し、運用体制の標準化や効率化を進めた。

さらに、利用者の拡大やサービス拡張に備えて、クラウド環境の拡張性や運用管理の柔軟性も重視した。トラブル発生時の即時復旧や障害の未然防止、運用負荷の軽減に向けて、統合運用管理の仕組みや高機能な監視システムも導入し、各用途ごとに最適化された運用環境を維持した。サービスごとのアップデートや新機能追加も容易に行える構成とすることで、社外向けシステム全体の品質向上と競争力強化を実現した。

このように、社外向けクラウド環境を用途ごとに細かくパターン化し、それぞれの業務ニーズや技術要件に対応する設計・運用を行ったことで、きめ細やかなサービス提供と安定したシステム運用の両立が可能となった。徹底した業務フローの把握と最適な技術選定、そして高品質なクラウド管理体制の整備を進めることで、お客様は社外向けサービスの安全性、信頼性、そして事業拡大への対応力を大きく高めることができた。

社外向けクラウド環境の課題解決に向けて、まず取り組んだのは「用途のパターン化」である。お客様は、自社が展開するさまざまな社外向けシステムについて、運用目的や扱うデータの種類を明確に分類し、それぞれのパターンごとに特有の業務フローや情報管理策を整理した。従来の社内インフラ設計とは異なり、社外との接点を考慮した場合、機密性の高いデータを取り扱うシステムもあれば、大規模ユーザー向けに公開されるサービスも存在するため、必要な運用ルールや技術要件も大きく異なる。こうした背景から、各パターンに固有の要件を詳細かつ網羅的に定義することが重要となった。

要件定義プロセスにおいては、既存のビジネスフローやインフラの運用状況を把握するために現場ヒアリングや関係部門とのワークショップを積極的に開催した。各ステークホルダーと綿密な協議を重ねることで、実際の業務の流れや、現状の運用上の課題・改善ニーズを徹底的に洗い出し、パターンごとに必要とされる具体的な機能、信頼性要件、セキュリティポリシー、拡張性の水準などを可視化することができた。

次のステップでは、「パターン別環境要件策定」を実施した。用途やデータ種別ごとに求められる環境要件を深く分析し、高度なセキュリティ預かりや厳格なアクセス制御が不可欠なパターンには、ネットワークの多層分離、ゼロトラスト認証、監査ログの自動収集・分析など、具体的かつ強固なセキュリティ対策を設計した。一方、サービスの可用性やスケーラビリティが重視されるシステムでは、クラウドの自動スケーリング機能や分散冗長構成、リソース弾力運用を取り入れ、アクセス急増にも安定稼働できる基盤とした。さらに、業務継続のためのバックアップやリカバリプラン、障害時復旧フローなどリスク対策も細部まで設計し、どんな状況でも迅速に業務復旧できる体制を整えた。

そして、「パターン別環境実装」では、単純なクラウド移行に終わることなく、実際にプロトタイプ環境（検証用構築環境）で設計した要件や設定項目が現実の業務フローに適合するか、セキュリティ・パフォーマンス面で期待通り機能するかを詳細に検証した。その過程で、実運用を想定した調整やチューニングを繰り返し、本番環境への導入時にはインフラセットアップだけでなく、システム全体の設定（コンフィギュレーション）もパターンごとに丁寧に管理した。

環境構築後は、セキュリティ検証、パフォーマンス測定、耐障害性テスト、ユーザー受入テスト（UAT）など、多角的な包括テストを行い、各パターンごとに定めた基準値を満たすか慎重に評価した。また、ユーザー部門とのコミュニケーションを通じて、運用体制やサポートフローの見直しも進め、不測のトラブル時にも即座に対応できる体制を確立した。これら一連のプロセスによって、お客様は用途ごとに最適化されたクラウド環境を安全・安定して構築できるだけでなく、将来的な変更や拡張にも柔軟に対応できる成長基盤を実現した。