データセンター基幹更改

複雑かつ大規模なデータセンターネットワークを一年で移行完了。機器削減/集約を実現。

InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。

・大規模データセンターネットワークの安全移行

・既存環境におけるネットワーク機器台数の削減・集約

今回のデータセンター基幹更改にあたっては、移行対象となるシステムが多数の外部システムと密接に連携している状況だった。このため、単純な一括移行では各外部システムに広範な影響が及び、業務停止リスクが非常に高まる恐れがあった。特に、移行するネットワークを介して稼働する周辺システムやサービスが数多く存在し、連携機能や通信経路の切り替えタイミングを細かく調整しなければならなかった。加えて、関連するネットワーク機器は100台を超えており、個々の機器の役割や依存関係も複雑に入り組んでいた。

このような環境下では、段階的かつ周到な移行計画の策定が不可欠だった。まず、全体をいくつかのグループやフェーズに分け、影響範囲を限定しながら順次切り替えを実施するアプローチが求められた。各フェーズの移行ごとに事前検証を徹底し、移行時のトラブル発生リスクを最小化することで、業務への影響を局所化し、安定したサービス提供を継続する体制づくりが課題となった。また、影響を受ける外部システムや関係部署との綿密な調整も不可欠であり、進捗状況や切り替え予定などの情報共有と、万が一の障害発生時には迅速に復旧可能なバックアッププランの用意も重要な課題となった。

加えて、コスト削減・運用負荷削減・省スペース化といった運用面の課題も同時にクリアしなければならなかった。これまで分散して設置されていた機器や役割が重複したネットワーク機器を精査し、不要な機器の撤去や、機能統合による集約化を進めることで、物理的な機器台数の大幅な削減を目指した。機器集約によって、運用・保守にかかる作業負担や管理コストの低減だけでなく、ラックスペースや消費電力の抑制にもつなげることが期待された。これらの目標を実現するためには、現状のネットワーク構成や運用状況の精密な調査・分析とともに、将来的な拡張性や可用性もしっかりと確保した設計が求められた。

このように、段階的な移行計画による影響の局所化と、機器台数の削減・集約化を両立することが、今回の更改プロジェクトで解決すべき大きな課題だった。

今回のデータセンター基幹更改では、まず外部システムや業務運用上の制約事項を徹底的に洗い出した。外部システムとの連携状況や業務ごとの運用時間、切替のタイミングによって発生するリスクを事前に把握することで、不測のトラブルや業務停止を未然に防ぐことが重要であった。その結果、一度にすべてを移行するのではなく、複数の段階に分けて移行作業を進めるステップ分割のアプローチを採用した。

移行ステップごとに、本番と同等の条件下で綿密な移行テストを実施した。実際のデータや業務プロセスを再現しながらテストを重ねることで、予期せぬ不具合やシステム間の相互影響を事前に把握し、技術的な対策や運用手順の見直しを行うことができた。このような事前検証を十分に行うことでリスクを低減し、テストおよび本番移行を含めて合計20回以上の移行作業を段階的かつ着実に実施した。

また、移行の過渡期には既存環境と新環境が並行して稼働する期間が発生した。ハイブリッド構成となるこの期間には、一部のシステムが新環境へ移行済みである一方、残りは既存環境で稼働しており、通信経路の複雑化や運用手順の変化への対応が求められた。そこで、過渡期の運用体制についても事前にシナリオを作成し、定期的な状況確認や障害対応の準備を徹底したことで、既存業務の継続性とサービス品質を維持した。

機器集約については現状分析を細部まで行った上で、機能統合や役割分担の見直しを実施した。不要な機器の撤去や極力新しい機器への集約を行うことで、物理的なスペースや消費電力の削減のみならず、運用管理の効率化にもつなげた。最終的に関連機器の台数を従来の約3分の1にまで削減し、運用コストや人的負担の大幅な軽減を実現した。

これらの施策を総合的に推進することで、システムの可用性・安定性を保ちつつ、効率的でリスクの少ない基幹システムの更改を成功させることができた。