営業拠点ローカルブレイクアウト

短期間でのシステム基盤構築/移行をセキュリティ強度高くアジャイルに実現

InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。

・全国100以上の拠点をインターネットブレイクアウト構成に移行する事による通信品質向上

・老朽化したネットワーク機器のリプレイス

本プロジェクトの成功には、全国100以上の営業拠点を一斉に新しいネットワーク構成へ移行するという規模やスピード面で多大な課題を乗り越えることが不可欠でした。そのため、取り組みは以下の2つの大きな側面で試練が存在しました。

まず、「多拠点における移行品質維持」が重要な課題となりました。全国に散在する拠点は、設置環境や現状ネットワーク構成が異なるほか、現地で対応する作業スタッフのレベルや技術習熟度もばらつきがあるため、移行作業の品質をすべての拠点で均一に保つことは容易ではありませんでした。万が一、設置手順や初期設定・検証作業にミスが発生すれば、拠点業務全体が停止したり通信障害が発生するなど、業務への影響は極めて大きくなります。このため、例えば業務影響を発生させない綿密な移行計画の立案や、現地作業手順の標準化、全員が参照可能な分かりやすい設置マニュアルの作成、作業前後のチェックリスト運用、さらには遠隔からの技術サポート体制など、きめ細かな品質管理・情報共有が強く求められる状況でした。

次に、「効率的でスムーズな移行作業の遂行」も大きな障壁となりました。全国規模の多拠点展開では、限られた短期間の中で、毎週末に10拠点以上の同時対応が必要となったため、通常の移行プロジェクトに比べて極めて高い業務効率と大規模体制による作業分担が必須となっていました。作業の流れとしては、機器のキッティングや設定コンフィグの個別管理、全拠点分の機器出荷と納品スケジュール調整など、事前準備段階でも膨大な手間と管理が発生します。現地到着後も、短時間で設置・設定・検証を行い、既存環境から新環境への切り替えをトラブルなく完了させる必要があり、各工程での確実な進行とトラブル時の迅速なリカバリー体制の整備が求められました。また、大規模プロジェクトだからこそ、進捗管理・作業報告・残課題のエスカレーションなど情報管理やコミュニケーションの最適化も重要な課題となります。効率化のためには、工数短縮を図る独自ツールや自動化システムの活用、また現地作業の標準化や事前教育など、複数の施策を柔軟に組み合わせる必要がありました。

このように、多拠点同時展開だからこそ発生する作業品質の維持と効率的な進行の両立が成功の鍵であり、プロジェクトチーム全体で知見やノウハウを共有しながら、一つ一つの拠点で安定した移行を達成するための体制づくりと現場対応力が求められました。

作業品質の徹底したコントロールのため、本プロジェクトでは複数の工夫と取り組みを組み合わせ、拠点ごとに環境やスタッフが異なる中でも、常に同一レベルの高品質な移行作業を実現することを目指しました。まず、各拠点での移行作業手順については、汎用的な内容にとどめるのではなく、それぞれの拠点の設備状況や運用実態に合わせた詳細化を進めました。さらに、手順書や作業指示書の作成の一部を半自動化し、必要な情報をシステムから自動反映することで人為的な記載ミスや漏れを防止しました。こうした仕組みにより、誰が作業を担当しても同様の作業流れとポイントを確実に押さえ、ミスの発生リスクを最小限に抑える工夫を行いました。

また、移行作業が完了するごとに、各拠点の担当エンジニアから現場で得たフィードバックや課題点、実際に発生したトラブル内容などを定期的に回収し、手順書や業務フローに迅速に反映する仕組みを確立しました。このフィードバックサイクルにより、問題があった場合はその都度原因を特定し、手順の改善や注意事項の追加を即座に実施します。特に作業ミスやトラブルが発生した場合には、詳細な事例をナレッジとして全拠点に対して迅速に水平展開し、繰り返し発生することがないよう全体で注意喚起や再教育を行いました。これにより、現場ごと、担当者ごとの経験値に依存せず、組織全体として作業品質の底上げを図ることができました。

加えて、新しい機器や初めて対応する作業内容については、十分な事前準備と検証を徹底しました。専用の検証環境を構築し、事前に模擬作業（リハーサル）を何度も繰り返すことで、想定外の事象を事前に把握し、必要に応じて手順に修正を加えるなど、現場での移行作業を円滑に進めるためのノウハウを蓄積しました。また、事前講習やハンズオン形式のトレーニングによってエンジニア個々のスキル向上にも注力し、全体として安定した作業品質を実現しました。

このような品質管理・改善サイクルと事前検証・教育の徹底によって、規模の大きい多拠点同時展開においても、作業品質の一元的なコントロールを可能とし、プロジェクト全体の信頼性と成功につなげることができました。