Case Studies
営業拠点SD-WAN環境構築
課題切り分け/設計変更で安定稼働へ

Case Studies
課題切り分け/設計変更で安定稼働へ

老朽化WANルーターからSD-WANルーターへ置換え、コントローラーから一括管理を実現
InfiniCoreはお客様の既存環境における課題を可視化し、 特定した課題に対して最適なソリューションを提供します。
Goal
・全国に広がる各営業拠点をつなぐネットワークを統合管理
・回線コスト削減のため、閉域網からインターネット回線への移行
お客様は、全国各地に展開する営業拠点同士を安定して繋ぎ、全体のネットワークを効率的かつ安全に運用することを強く望んでいた。従来は各拠点ごとに個別管理されたWANルーターが設置されており、それぞれの機器設定や障害対応を現地で行う必要があったため、管理負担が大きく、トラブル時の対応にも時間と工数を要していた。また、設定変更や運用状況の把握にも限界があり、全国規模でのネットワーク統合管理が困難な状況だった。
このような課題を解決するため、お客様は老朽化したWANルーターから最新のSD-WANルーターへの刷新を決断した。SD-WANルーターの導入によって、各営業拠点のネットワークをコントローラーで一括集中的に遠隔管理できるようになり、個別機器ごとの煩雑な運用作業が大幅に削減された。さらに、ネットワークの状態監視やトラブル発生時の障害切り分け・対応もコントローラー画面からリアルタイムに把握でき、現地対応の必要性も最低限に抑えることが可能となった。加えて、各拠点のネットワーク設定変更や機能追加なども一括で短時間に実施できるため、運用の柔軟性と全体最適が実現した。
もう一つの大きな課題は、閉域網専用回線を利用していたことによる回線費用の高騰だった。全国規模で拠点数が多いほど回線コストの負担が増し、運用コストの効率化が難しい状況だった。そこで、お客様はネットワーク構成を抜本的に見直し、既存の閉域網からよりコストパフォーマンスの高いインターネット回線への移行を検討した。SD-WAN技術によって、インターネット接続を利用しても拠点間通信の安全性や品質を確保しながら、柔軟に回線を選択し最適な運用ができる環境を整えた。
これにより、お客様は全国に広がる営業拠点間のネットワークを集中的に一元管理できるだけでなく、迅速な障害対応や効率的な運用、設定変更を可能にし、ネットワーク運用体制の抜本的な効率化を実現した。さらに、インターネット回線活用による回線コストの大幅削減も可能となり、運用経費のコントロールと全社的なIT投資の最適化にも大きな効果がもたらされている。結果として、SD-WAN環境構築を通じて、お客様が目指す「全国拠点ネットワークの統合管理」と「ネットワークコストの削減」という二大目標を両立できる体制が実現した。
Challenge
当初設計の課題として、初期段階で策定されたネットワーク構成には複数の問題点が潜在しており、実際の環境に導入する際に期待通りの運用が困難であることが判明した。そのため、移行後の安定・安全な運用を実現するためには、拠点間の接続方法やルーティング設計など、根本的な部分から大幅な設計変更を余儀なくされた。これにより、初期設計の見直しと移行計画の再策定に多くの工数と時間を費やすこととなり、関係各所との調整や追加検証も必要となった。
また、小規模拠点に対しては、通信インフラの制約などから直接インターネット回線へ切り替えることができず、標準的なSD-WAN導入方式が適用できないという課題が顕在化した。この状況に対応するために、特殊なネットワーク設計が求められることとなり、小規模拠点からは他の拠点ルータを経由してSD-WANコントローラーにアクセスする設計を採用した。こうした特殊要件への対応によって、トポロジー設計や経路設計がさらに複雑化し、信頼性・可用性の確保とともに、移行手順や運用管理方法の工夫も不可欠となった。
さらに、SD-WAN製品自体の不具合やマニュアルなどでは明記されていない特殊な制限事項などが数多く表面化し、それらへの対処がサービスの安定稼働までに大きな障害となった。一部の機能が期待通りに動作しないバグや、構成上の制限が事前に把握できずに後から判明するケースが頻発したため、トラブルシューティングやメーカーとの情報交換、再設計・再検証のラウンドが繰り返されることになった。その結果、安定したネットワーク運用体制を構築するまでに予想以上の対応工数と調整期間が発生し、プロジェクトとしても粘り強く障害対応や設計追加修正を積み重ねる必要があった。
このように、標準設計通りに進まない実運用上の複雑な課題や、製品に固有の問題への対応がプロジェクトの大きなハードルとなり、柔軟な設計変更と粘り強い障害解決が成功の鍵となった事例である。
当初ネットワーク構成に問題があり、移行後の実現可能な構成のために大幅な設計変更が必要となった。
小規模拠点はインターネット回線への切り替えが不可能だったため、他拠点ルータを経由してSD-WANコントローラーにアクセスする特殊な要件に対応が必要となった。
製品バグや未開示の特殊な制限事項により、構築後の安定稼働までに多くの課題と時間が必要だった。
Solution
今回のネットワーク移行における課題解決策として、まず、音声通信用の閉域網回線とデータ通信用のインターネット回線の2種類の回線を各営業拠点に設け、用途ごとに明確な経路制御を実施した。特に音声通信においては遅延や品質の低下が業務に大きく影響するため、閉域網回線を利用し、QoS(Quality of Service)制御を適用することで帯域を優先的に確保し、通信品質の維持に努めた。一方、データ通信はインターネット回線を活用することでコスト効果を高め、回線の冗長性や効率化も図った。これにより、それぞれの業務用途に最適なネットワーク経路を割り当てることができ、回線毎のトラフィック分散や障害発生時の影響低減にも寄与した。
また、ネットワーク移行作業は全拠点一斉ではなく、拠点ごとの段階的な移行方式で慎重に進めた。各拠点には、従来利用していたルータと新規導入したSD-WANルータを並行設置し、OSPF(Open Shortest Path First)プロトコルによるneighbor関係を確立することで、両機器間で通信が可能な状態を構築した。これにより、移行期間中も業務通信を維持しつつ、万一問題が発生した場合には速やかに旧ルータへの切り戻しが可能となり、移行リスクの極小化が図れた。また、段階的移行により、各拠点の状況や作業負荷に合わせて柔軟にスケジュール調整や検証を行えたため、トラブル対応の品質向上にもつながった。
さらに、SD-WAN製品に起因する不具合や、事前調査では判明しなかった特殊な制限事項への対処としては、設計変更やメーカーへの問い合わせ・障害調査、そしてワークアラウンドの策定・導入を粘り強く実施した。現場で発生した予期せぬ問題に対しては、メーカーと緊密に連携しながら不具合の根本原因特定を行い、必要に応じて構成の修正や追加設定を施すことで解決策を講じた。また、制限事項に関しては現場検証を通じて詳細な動作確認を重ね、既存の設計に適応するための工夫を随時取り入れた。これらの対応により、構築後のネットワーク安定稼働を実現し、予期しなかった多様な課題にも柔軟かつ迅速な解決を図ることができた。
結果として、二重回線環境の設計と用途別制御、慎重な段階的移行方式、確実な不具合対応と検証を重ねることで、業務に支障のない高品質かつ安定したSD-WANネットワーク環境への移行を成功させた。
音声通信は閉域網回線+QoS制御で品質を確保し、データ通信はインターネット回線でコスト削減。目的別に最適な回線と経路管理を実施した。
従来ルータとSD-WANルータを並行利用し、OSPFで通信確保。段階的移行により、リスクを最小化し、安定した切り替えを実現した。
不具合や未公開の制約を発見次第、メーカー調査や設計変更、ワークアラウンドなどで迅速に対処。綿密な検証を重ねて安定稼働に導いた。
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