Technology

SD-WAN

ソフトウェアを活用した
WANの管理と制御

アプリケーションの識別、可視化、トラフィック制御で通信パフォーマンスを最適化

従来のWANはデータセンター経由の一元運用のため、クラウド利用拡大によるトラフィック集中に対応できず、回線コスト増大や通信パフォーマンス低下が課題でした。SD-WANは、アプリケーションの識別・可視化・トラフィック制御によって、これらの問題を解決します。

SD-WANとは

SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)は、従来の広域ネットワーク(WAN)に比べて、より柔軟かつ効率的にネットワークの管理・制御を可能にする新しいネットワーク技術です。従来型のWANは、主に企業の拠点とオンプレミスのデータセンターを専用回線やVPNなどで接続し、集中管理するモデルが一般的でした。しかし、近年ではクラウドサービスやSaaS(Software as a Service)の利用が拡大し、社外からインターネット経由で様々なサービスにアクセスする機会が増加したことで、トラフィックがデータセンターに集中し、ネットワークの帯域不足や遅延、運用コストの増大などの課題が浮き彫りになっています。

SD-WANは、こうした課題に対して効果的なソリューションを提供します。ソフトウェアによる集中管理により、ネットワーク上の各拠点やデバイスを一元的かつリアルタイムで監視・制御することができ、手動で複雑な設定を行う必要が減ります。また、SD-WANはアプリケーションごとにトラフィックの種類を識別し、音声通話や動画配信などの遅延に敏感な通信は高速かつ安定した回線へ優先的に振り分けるなど、状況に応じて最適な経路を自動的に選択します。これにより、ネットワーク全体のパフォーマンス向上と、回線利用の効率化、さらには運用コストの削減が期待できます。

また、SD-WANは複数の通信回線(インターネット回線、専用線、4G/5G回線など)を柔軟に組み合わせて利用できるため、障害時の自動切り替えや帯域拡張といった冗長性・可用性の向上も実現します。さらに、セキュリティ機能も統合されており、拠点間やクラウド接続におけるデータの保護も強化されています。これらの特徴により、SD-WANはクラウド時代のネットワーク基盤として多くの企業に選ばれています。

InfiniCoreのSD-WAN

アプリケーションの識別と可視化

Office 365などの特定アプリケーションを自動的に識別し、”いつ・どのアプリケーションが・どの程度の通信量で”利用されているかをリアルタイムで把握できます。

さらに、各拠点や利用者ごとに細かな利用状況を分析できるため、全体のネットワーク負荷や課題の特定が容易になります。これにより、ネットワーク管理者は、どのサービスが多く利用されているか、ピーク時間帯はいつか、といった詳細な情報に基づいて帯域の割り当てや最適なルーティング設定など、効率的な運用を行うことが可能です。

また、予期せぬトラフィックの発生や異常な通信も素早く検知できるため、セキュリティ対策やトラブルシューティングにも役立ちます。

トラフィック制御と最適化

識別されたアプリケーションごとに通信の優先度や特性を判断し、それに最適な回線を自動で選択して利用させることができます。

例えば、業務で重要な音声通話やビデオ会議といった遅延に敏感なアプリケーションは、より品質の高い専用線に振り分ける一方、業務上さほど重要度が高くないデータ転送はコスト効率の良いインターネット回線を活用するといった制御が可能です。これにより、WAN回線を無駄なく有効活用するとともに、帯域の逼迫や不要な遅延を防止できます。結果として、通信パフォーマンスの向上や、利用状況に応じた回線の最適化による運用コストの削減が実現できます。

また、この自動的なトラフィック制御によって、急なトラフィックの変動や障害時にも柔軟に対応できる高い可用性を確保することができます。

一元管理と運用の簡素化

各拠点やデータセンターに設置されたSD-WAN対応ルータは、中央のSD-WANコントローラによって一元的に管理されます。

全ての設定変更や監視、トラブル対応などの運用作業は、管理者がひとつのGUI(Graphical User Interface)から直感的に操作できるため、従来の複雑な個別設定の手間を大幅に削減できます。

また、ネットワーク構成の変更や新しい拠点の追加も、GUI上で簡単に行うことができ、短時間で柔軟な対応が可能となります。これにより、運用・管理の効率化だけでなく、人的ミスの防止にもつながり、ネットワーク全体の安定運用を実現します。

柔軟なスケーラビリティ

SD-WANは企業の成長や事業環境の変化に合わせて、ネットワーク規模を柔軟に拡張することができます。新しい拠点の追加や、既存拠点のネットワーク構成変更も、物理的な作業や複雑な設定を最小限に抑えつつ、迅速かつスムーズに対応可能です。

また、クラウドサービスやSaaSの利用が増えた場合でも、SD-WANのコントローラから一元的に接続設定やトラフィック制御を行えるため、管理負担を増やさずにセキュアで効率的な通信環境を維持できます。これにより、企業はビジネスの拡大や多拠点展開、新たなクラウドサービスへの対応など、幅広いニーズに柔軟に対応できる高いスケーラビリティを実現します。

高いセキュリティ

SD-WANは高度なセキュリティ機能を備えており、ネットワークを強固に保護します。全ての通信データを暗号化することで、情報漏洩や盗聴のリスクを低減するとともに、拠点ごとやアプリケーションごとに詳細なセキュリティポリシーを統一的に管理することが可能です。

また、不正アクセスやマルウェア、サイバー攻撃に対しても、ファイアウォール機能やアクセス制御、リアルタイム監視など多層的な防御を実現します。これにより、企業の重要な情報資産を安全に守りつつ、ネットワーク全体のセキュリティレベルを高く維持することができます。

SD-WAN

お客様適用シーン

クラウドサービス利用の最適化

クラウドサービス(例えばOffice 365やSalesforce)の利用が増加する中で、SD-WANはこれらのアプリケーションのトラフィックを最適に制御し、高速かつ効率的なクラウドアクセスを実現します。

回線コストの削減

各拠点でインターネット回線と専用回線を組み合わせて利用し、適切にトラフィックを配分することで、回線コストの大幅削減を実現します。コスト効率を最大化します。

リモートワーク環境の強化

リモートワーカーが企業のネットワークに安全かつ高速に接続できるよう支援します。SD-WANはリモートアクセスVPNを最適化し、生産性を向上させます。

迅速な新拠点立ち上げ

新しい支社や工場の立ち上げ時にSD-WANを導入することで、迅速にネットワーク環境を構築・運用を開始することができます。時間とコストを大幅に節約します。

・お客様事例

・関連サービス

SASE

SD-WAN(ネットワーク制御)とクラウド型セキュリティ(ゼロトラスト、SWG、CASBなど)を組み合わせ、どこからでも安全かつ最適なネットワーク環境を提供します。


ローカルブレイクアウト

各拠点から直接インターネットへ接続する方式です。従来のデータセンター経由の通信では、クラウド利用拡大に伴いトラフィック集中や機器負荷が課題でした。これに対し、回線コスト削減や通信パフォーマンス向上します。


SDN/NFV

SDNは、ネットワーク機器の制御をソフトウェアに集約し、柔軟な構成変更を可能にする技術。NFVはネットワーク機器自体を仮想化し、SDNと組み合わせることで、ルータやFirewallなどの専用機器を仮想マシンとして運用します。