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【5分でわかる】CASBとは?主要4機能と導入メリットを初心者向けに徹底解説

目次[非表示]

  1. あなたの会社のクラウド利用、本当に安全ですか?CASBの必要性とは
  2. 【そもそも】CASBとは?クラウド時代の「門番」をわかりやすく解説
  3. CASBの心臓部!セキュリティを強化する主要4機能
  4. 情シス担当者必見!CASBを導入する3つの具体的なメリット
  5. 失敗しないCASB製品の選び方|自社に最適なツールを見つける3つのポイント
  6. まとめ:CASBで実現する、攻めのクラウドセキュリティ戦略

あなたの会社のクラウド利用、本当に安全ですか?CASBの必要性とは

「クラウドサービスは便利だが、セキュリティは本当に大丈夫なのだろうか?」
情報システム担当者様であれば、一度はこのような懸念を抱いたことがあるのではないでしょうか。

現代のビジネスにおいて、クラウドサービスの活用はもはや不可欠です。しかし、その利便性の裏側には、これまでとは質の異なるセキュリティリスクが潜んでいます。本記事では、そのリスクを管理し、安全なクラウド活用を実現するための鍵となる「CASB(キャスビー)」について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。

テレワークとクラウド化で急増するセキュリティリスク

働き方改革やパンデミックを経て、テレワークは多くの企業で当たり前の働き方となりました。オフィスという物理的な境界線がなくなり、自宅や外出先など、あらゆる場所から社内システムやクラウドサービスへアクセスする機会が急増しています。

この変化は、業務効率を飛躍的に向上させた一方で、情報システム担当者にとっては新たな課題を生み出しました。従来主流だった「境界型セキュリティモデル」は、社内ネットワーク(内側)とインターネット(外側)を明確に区別し、その境界で脅威を防ぐという考え方です。しかし、クラウド利用とテレワークが一般化した今、守るべきデータの場所は社内だけでなくクラウド上に分散し、アクセス元も多様化しています。

もはや、どこまでが「社内」でどこからが「社外」なのか、その境界線は曖昧になっているのです。このような状況で、従来のセキュリティ対策だけで、本当に会社の重要情報を守りきれるでしょうか?

「シャドーIT」が引き起こす情報漏洩の脅威

情シス担当者の頭を悩ませる、もう一つの深刻な問題が「シャドーIT」です。

シャドーITとは、企業や組織が公式に利用を許可していないデバイスやクラウドサービスを、従業員が業務のために独断で使用することを指します。

例えば、こんな経験はありませんか?
「大容量のファイルを送りたいが、会社指定のツールでは上限を超えてしまう。仕方なく、個人で契約している無料のオンラインストレージを使おう…」
これは、業務を効率化したいという従業員の善意から生まれることがほとんどです。しかし、その裏では、セキュリティ設定が不十分なサービスから、機密情報や個人情報が外部に漏洩するリスクが急激に高まっています。

情報システム部門が利用実態を把握できていないため、当然、適切なセキュリティ対策を施すこともできません。シャドーITは、まさに企業のセキュリティにおける”見えない脅威”なのです。

この記事でわかること:CASBの基本から導入メリットまで

この記事を最後までお読みいただくことで、以下の内容を理解できます。

  • CASBとは何か、その基本的な概念と注目される背景
  • CASBが持つ4つの主要な機能とその具体的な役割
  • 情報システム担当者がCASBを導入することで得られる具体的なメリット
  • 自社に最適なCASB製品を選ぶための3つのポイント

本記事が、貴社のクラウドセキュリティ戦略を一段階上へと引き上げるための一助となれば幸いです。それでは、まずはCASBの基本的な定義から見ていきましょう。

【そもそも】CASBとは?クラウド時代の「門番」をわかりやすく解説

クラウドサービスの利用が当たり前になった今、新たなセキュリティ対策の考え方が求められています。その中核を担うのが「CASB(Cloud Access Security Broker)」です。ここでは、CASBの基本的な概念と、なぜ今これほどまでに注目されているのかを解説します。

CASBを一言で説明すると「クラウドサービスのセキュリティ対策ツール」

CASB(キャスビー)とは、「Cloud Access Security Broker」の略称です。
一言で説明するなら、「従業員(ユーザー)とクラウドサービスの間に立ち、一元的なセキュリティポリシーを適用するための仲介役(Broker)」と言えます。

イメージとしては、クラウドサービス利用における「優秀な門番」のような存在です。

この門番は、誰が(どの従業員が)、いつ、どこから、どのクラウドサービスにアクセスし、どのような操作をしようとしているのかをすべて監視します。そして、会社が定めたセキュリティルール(ポリシー)に基づいて、「その通信は許可」「その操作は禁止」といった判断をリアルタイムで行い、クラウド利用の安全性を確保するのです。

Microsoft 365やGoogle Workspace、Salesforce、Boxなど、企業で利用される複数のクラウドサービスに対して、統一されたセキュリティ基準を適用できる点がCASBの最大の特徴です。

なぜ今CASBが注目されるのか?その背景にある3つの理由

近年、CASBの重要性が急速に高まっています。その背景には、主に3つの大きな環境変化があります。

理由1:クラウドサービスの爆発的な普及

一つ目の理由は、言うまでもなくクラウドサービスの爆発的な普及です。SaaS、PaaS、IaaSといった様々な形態のクラウドサービスがビジネスのあらゆる場面で活用されるようになりました。

実際に、日本の企業のクラウドサービス利用率は年々増加しています。

クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は74.3%となっている。前回調査(令和4年調査)の72.2%から2.1ポイント上昇しており、上昇傾向が続いている。

出典: 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」

このように多くの企業が複数のクラウドサービスを導入・運用する中で、サービスごとにバラバラなセキュリティ設定を管理するのは、情報システム担当者にとって非常に大きな負担となります。CASBは、この課題を解決し、一元的な管理を実現するソリューションとして期待されています。

理由2:境界線が曖昧になったセキュリティモデルの変化

二つ目の理由は、前述した「境界型セキュリティモデル」の限界です。
従来のセキュリティ対策は、社内ネットワークという「城」をファイアウォールなどの「城壁」で囲み、その出入り口を監視することで安全を保つという考え方でした。

しかし、クラウド上にデータが置かれ、社外からスマートフォンや自宅PCでアクセスするのが当たり前になった今、もはや「城の中は安全、外は危険」という前提が成り立ちません。

そこで注目されているのが、「何も信頼しない」ことを前提とする「ゼロトラスト」という新しいセキュリティモデルです。CASBは、このゼロトラストを実現するための重要な構成要素の一つと位置づけられています。(※ここに内部リンクを設置:関連記事「ゼロトラストとは」へのリンクを推奨)

理由3:多様化する働き方とデバイス

三つ目の理由は、テレワークの定着やBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)の広がりなど、働き方と利用デバイスが多様化したことです。

オフィス、自宅、カフェ、出張先など、働く場所を選ばない柔軟なワークスタイルは、生産性を向上させる一方で、管理されていないネットワークやデバイスからのアクセスという新たなリスクを生み出しました。

CASBを導入することで、従業員がどのような場所・デバイスからアクセスしてきたとしても、クラウドサービスの利用に対して一貫したセキュリティポリシーを適用し、安全な利用環境を維持することが可能になります。

CASBと他のセキュリティ製品(SWG, SASE, SSEなど)との違い

CASBを理解する上で、しばしば混同されがちな他のセキュリティ製品との違いを明確にしておきましょう。ここでは、SWG、SASE、SSEとの関係性を表で整理します。

用語

正式名称

主な役割

特徴

CASB

Cloud Access Security Broker

クラウドサービスの利用に特化したセキュリティ対策

可視化、コンプライアンス、データ保護、脅威防御などクラウド利用の統制に重点

SWG

Secure Web Gateway

Webサイトへのアクセスを安全にするためのプロキシ

URLフィルタリングやアンチウイルス機能で、危険なWebサイトへのアクセスをブロック

SASE

Secure Access Service Edge

ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合して提供する概念

CASB、SWG、ZTNAなどを包含し、場所を問わず安全なアクセスを実現するフレームワーク

SSE

Security Service Edge

SASEからネットワーク機能(SD-WAN)を除いた、セキュリティ機能群の総称

CASB、SWG、ZTNA(ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス)などが主要な構成要素

簡単に言えば、CASBは「クラウドサービスを守る」ことに、SWGは「Webアクセスを守る」ことに特化しています。そして、SSEはCASBやSWGを含むセキュリティ機能群をまとめたものであり、さらにネットワーク機能まで統合した包括的な概念がSASEである、と理解しておくとよいでしょう。

ここまでで、CASBの基本的な役割と注目される背景をご理解いただけたかと思います。次の章では、CASBが具体的にどのような機能でクラウドセキュリティを強化するのか、その心臓部である「主要4機能」を詳しく見ていきましょう。

CASBの心臓部!セキュリティを強化する主要4機能

CASBがクラウド利用の「優秀な門番」として機能するための中核となるのが、米国の調査会社Gartnerが定義した「可視化」「コンプライアンス」「データセキュリティ」「脅威防御」という4つの主要機能です。これらの機能が連携することで、企業のクラウド環境は強固に保護されます。

機能1:【可視化】誰が・いつ・どのクラウドを・どう使っているかを把握

すべてのセキュリティ対策は、まず「現状把握」から始まります。CASBの最も基本的な機能が、この「可視化」です。

シャドーITの発見と利用状況のモニタリング

従業員がどのようなクラウドサービスを利用しているか、情シス担当者がすべてを把握するのは困難です。CASBは、ネットワーク上の通信ログ(FirewallやProxyのログ)を分析することで、会社で許可されていない「シャドーIT」を含め、実際に利用されているすべてのクラウドサービスを洗い出します。

これにより、「どの部署の誰が」「いつ」「どのサービスに」「どれくらいの頻度でアクセスしているか」といった利用実態を正確にモニタリングできるようになります。これまで見えていなかったリスクを特定する、第一歩となる機能です。

リスクの高いクラウドサービスの特定と評価

CASBは、単に利用されているサービスをリストアップするだけではありません。それぞれのクラウドサービスが、セキュリティ基準(データの暗号化、認証要件、コンプライアンス認証の取得状況など)を満たしているかどうかを評価し、リスクレベルをスコアリングします。

例えば、「ファイル共有サービスAはセキュリティレベルが低いため利用禁止」「プロジェクト管理ツールBは条件付きで許可」といったように、客観的なデータに基づいて利用可否の判断を下すことが可能になります。

機能2:【コンプライアンス】社内・業界ルールが守られているかをチェック

クラウドサービス上に保存されるデータは、社内規定だけでなく、国内外の様々な法規制や業界標準の対象となります。CASBは、これらのルールが遵守されているかを自動的にチェックします。

GDPRや個人情報保護法など各種規制への対応

EUのGDPR(一般データ保護規則)や日本の改正個人情報保護法など、個人情報の取り扱いに関する規制は年々厳格化しています。CASBは、これらの法規制で保護対象となるデータが、クラウド上で適切に管理されているか(例:特定の地域外にデータが保管されていないか)を監視し、コンプライアンス違反を防ぎます。

ポリシー違反の自動検出と是正措置

企業はCASB上で「個人情報を含むファイルは、社外の人間と共有してはならない」「機密情報ラベルが付いたドキュメントは、個人アカウントのクラウドストレージにアップロードしてはならない」といった独自のセキュリティポリシーを細かく設定できます。

CASBは、これらのポリシーに違反する操作をリアルタイムで検出し、管理者にアラートを通知したり、違反操作を自動的にブロックしたりすることで、ルール違反を未然に防ぎます。

機能3:【データセキュリティ】クラウド上の重要データを保護

クラウド利用における最大の懸念事項の一つが、重要データの漏洩です。CASBは、強力なデータセキュリティ機能で、企業の知的財産や顧客情報を保護します。

機密情報へのアクセス制御と権限管理

CASBは、「誰が」「どのデータに」アクセスできるかをきめ細かく制御します。役職や部署に応じて、「人事部のメンバーだけが給与情報にアクセスできる」「営業担当者は自分が担当する顧客のデータのみ閲覧可能」といった柔軟なアクセスポリシーを設定できます。

また、アクセス元の場所(社内/社外)や使用デバイス(会社支給PC/私物スマホ)といったコンテキストに応じて、「社外からは閲覧のみ許可し、ダウンロードは禁止する」といった動的な制御も可能です。

情報漏洩防止(DLP)とデータの暗号化

CASBは、DLP(Data Loss Prevention)機能を備えており、ファイルの内容をスキャンして機密情報(マイナンバー、クレジットカード番号、設計図など)が含まれていないかをチェックします。

もし機密情報を含むファイルを社外へ送信しようとしたり、許可されていないクラウドサービスにアップロードしようとしたりした場合、その操作をブロックして情報漏洩を水際で防ぎます。さらに、クラウド上に保存されている重要データを自動的に暗-p化し、万が一データが流出しても第三者が内容を読み取れないように保護する機能も提供します。

機能4:【脅威防御】不正アクセスやマルウェアから守る

最後の機能は、外部からのサイバー攻撃に対する防御です。CASBは、巧妙化する脅威から企業のクラウド環境を守ります。

不審なアカウントの振る舞いを検知

CASBは、機械学習(AI)を活用して、ユーザーの通常の操作パターンを学習します。そして、そのパターンから逸脱した異常な振る舞いを検知します。

  • 短時間に複数の国からログイン試行がある(ありえない移動)
  • 深夜など、通常業務を行わない時間帯に大量のデータをダウンロードしている
  • ログイン失敗が異常な回数繰り返されている

このような不審な挙動は、アカウントが乗っ取られた可能性を示唆します。CASBは、これを脅威として検知し、該当アカウントを一時的にロックアウトするなどの対抗措置を自動で実行します。

マルウェアの感染防止とクラウドへの侵入ブロック

従業員がマルウェアに感染したファイルをクラウドストレージにアップロードしてしまうと、そこから組織全体に感染が広がる危険性があります。

CASBは、クラウドとの間でやり取りされるファイルをスキャンし、マルウェアやランサムウェアが含まれていないかをチェックします。脅威が検出された場合は、そのファイルのアップロードやダウンロードをブロックし、感染の拡大を防ぎます。

これらの4つの機能が連携することで、CASBは複雑なクラウド環境のセキュリティを包括的に強化します。次の章では、これらの機能を活用することで、情報システム担当者様が具体的にどのようなメリットを得られるのかを見ていきましょう。

情シス担当者必見!CASBを導入する3つの具体的なメリット

CASBが持つ強力な4つの機能を活用することで、情報システム担当者は日々の業務における課題を解決し、企業全体のセキュリティレベルを飛躍的に向上させることができます。ここでは、CASB導入がもたらす3つの具体的なメリットを、情シス担当者の視点から解説します。

メリット1:統一されたポリシーでクラウドセキュリティを大幅に強化

最大のメリットは、乱立しがちなクラウドサービスのセキュリティポリシーを一元管理できる点です。

多くの企業では、部署ごとや目的ごとに様々なSaaSが導入されており、それぞれのサービスが独自のセキュリティ設定を持っています。情報システム担当者がこれら全ての設定を個別に管理・最適化し続けるのは、非現実的と言えるでしょう。

<導入前の課題>

  • Microsoft 365、Google Workspace、Salesforce…サービスごとに管理画面が異なり、設定項目もバラバラ。
  • 新しいクラウドサービスが導入されるたびに、セキュリティ設定の学習コストと運用工数が増大する。
  • 設定ミスや漏れが発生しやすく、組織全体のセキュリティレベルにばらつきが生じる。

<CASB導入後の効果>
CASBを導入すれば、単一の管理画面から、利用しているすべてのクラウドサービスに対して横断的かつ統一されたセキュリティポリシーを適用できます。「重要データはダウンロード禁止」「外部共有は上長承認が必須」といった共通ルールを一度設定するだけで、対象の全サービスに反映されるため、管理工数を大幅に削減しながら、セキュリティレベルの標準化と強化を同時に実現できます。

メリット2:シャドーIT対策と安全なクラウド利活用を両立

従業員の利便性を損なうことなく、シャドーITのリスクをコントロールできる点も大きなメリットです。

情報システム部門がシャドーIT対策として「許可したサービス以外は一切利用禁止」という厳しいルールを課すと、現場の業務効率が低下し、従業員の不満が高まる可能性があります。最悪の場合、ルールが形骸化し、さらに巧妙な形でシャドーITが横行するケースも少なくありません。

<導入前の課題>

  • 従業員がどのサービスを使っているか把握できず、リスクを管理できない。
  • セキュリティを優先してサービス利用を厳しく制限すると、現場の生産性が落ちる。
  • 利便性を優先すると、情報漏洩のリスクが uncontrollable になる。

<CASB導入後の効果>
CASBを使えば、まず「可視化」機能で社内のシャドーITの実態を正確に把握できます。その上で、各サービスの安全性を評価し、「このサービスは危険なので利用を禁止する」「このサービスは安全性が確認できたので、申請の上で公式に利用を許可する」といった柔軟なコントロールが可能になります。

これにより、危険なシャドーITは排除しつつ、安全で便利なサービスは積極的に業務に取り入れるという「攻めのクラウド活用」が実現できます。セキュリティ(守り)と業務効率(攻め)の両立は、現代の情シス担当者に求められる重要な役割です。

メリット3:コンプライアンス遵守と監査対応の工数を削減

CASBは、コンプライアンス遵守と監査対応の強力な味方となります。

個人情報保護法やGDPR、あるいは業界ごとのセキュリティガイドラインなど、企業が遵守すべきルールは多岐にわたります。これらのルールに違反した場合、高額な罰金や信用の失墜といった深刻なダメージを被る可能性があります。

<導入前の課題>

  • クラウド上のどこに、どのような重要データが存在するかを正確に把握できない。
  • 誰がそのデータにアクセスしたか、どのような操作をしたかの記録を追跡するのが困難。
  • 監査のたびに、各クラウドサービスから手作業でログを収集・分析する必要があり、膨大な時間がかかる。

<CASB導入後の効果>
CASBは、クラウド上のデータアクセスや操作のログを自動的かつ網羅的に収集・記録します。ポリシー違反の操作があれば即座にアラートが上がるため、インシデントの早期発見と対応が可能です。

また、監査の際には、CASBのレポート機能を活用することで、「いつ、誰が、どのデータにアクセスし、何をしたか」という証跡を迅速に提出できます。これにより、監査対応にかかる工数を劇的に削減し、情シス担当者の負担を大幅に軽減します。

このように、CASBは単なるセキュリティ強化ツールにとどまらず、運用管理の効率化やコンプライアンス対応の強化といった多岐にわたるメリットをもたらします。次の章では、実際にCASB製品を選ぶ際に失敗しないためのポイントを解説します。

失敗しないCASB製品の選び方|自社に最適なツールを見つける3つのポイント

CASBの導入メリットを理解したところで、次なるステップは自社に最適な製品の選定です。CASB製品は国内外の多くのベンダーから提供されており、それぞれに特徴があります。ここでは、製品選定で失敗しないために押さえておくべき3つの重要なポイントをご紹介します。

ポイント1:対応クラウドサービスの範囲と連携のしやすさ

まず最初に確認すべきは、自社で現在利用している、また将来的に利用する可能性のあるクラウドサービスに、そのCASB製品が対応しているかという点です。

  • 対応アプリケーション数: 主要なSaaS(Microsoft 365, Google Workspace, Salesforce, Box, Slackなど)はもちろんのこと、自社で利用している業界特化型のアプリケーションや、今後導入を検討しているサービスが対応リストに含まれているかを確認しましょう。
  • 連携の深さ: 単に対応しているだけでなく、どのレベルの制御が可能かも重要です。例えば、ファイルのアップロード/ダウンロード制御、共有設定の変更、投稿内容の監視など、アプリケーションのAPIと深く連携し、きめ細かい制御ができる製品ほど、高いセキュリティレベルを実現できます。

ベンダーのWebサイトで対応サービスリストを確認したり、問い合わせてみるのが確実です。

ポイント2:導入形態(API連携型、プロキシ型など)の確認

CASBの導入形態は、主に「API連携型」「プロキシ型」に大別され、それぞれにメリット・デメリットがあります。両方を組み合わせたハイブリッド型も存在します。自社の環境や重視するポイントに応じて、最適な形態を選ぶことが重要です。

導入形態

概要

メリット

デメリット

API連携型

クラウドサービスが提供するAPIを利用してCASBと連携する方式

・ユーザーの通信経路に介在しないため、導入が容易でパフォーマンスへの影響が少ない
・社外や管理外デバイスからのアクセスも監視可能

・APIが対応していない操作は制御できない
・リアルタイムでのブロックが苦手な場合がある

プロキシ型

ユーザーとクラウドサービスの通信経路上にCASBをプロキシとして配置する方式

・リアルタイムでの通信制御やブロックが可能
・API非対応のサービスでもある程度の制御が可能

・導入時にネットワーク設定の変更が必要
・通信のパフォーマンスに影響を与える可能性がある

【選定のヒント】

  • 導入の容易さを重視する場合や、管理外デバイスからの利用が多い場合は「API連携型」が適しています。
  • リアルタイムでの厳密な制御や、未対応サービスの利用制限を重視する場合は「プロキシ型」が有力な選択肢となります。

多くの製品は両方の機能を備えているため、どちらの方式をメインで利用したいかを検討しましょう。

ポイント3:管理画面の使いやすさとサポート体制の充実度

CASBは導入して終わりではなく、継続的に運用していくツールです。そのため、情報システム担当者が直感的でストレスなく使えるかどうかは、非常に重要な選定ポイントです。

  • 管理画面のUI/UX: ダッシュボードは見やすいか? ポリシー設定は分かりやすいか? レポートは必要な情報を簡単に出力できるか? 多くの製品で無料トライアルが提供されているため、実際に管理画面を操作して、自社の担当者にとっての使いやすさを確認することをお勧めします。
  • アラートの質: ポリシー違反や脅威を検知した際のアラートは、分かりやすく、対応が必要なものだけが通知される仕組みになっているか。過剰なアラートは、いわゆる「アラート疲れ」を引き起こし、本当に重要な警告を見逃す原因になりかねません。
  • サポート体制: 導入時の支援はもちろん、運用開始後に不明点やトラブルが発生した際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかは重要です。日本語でのサポート窓口の有無、対応時間、ナレッジベースの充実度などを確認しておきましょう。

これらの3つのポイントを総合的に評価し、複数の製品を比較検討することで、自社のセキュリティ要件と運用スタイルに最もマッチしたCASB製品を見つけることができるでしょう。

まとめ:CASBで実現する、攻めのクラウドセキュリティ戦略

本記事では、CASBの基本的な概念から、その主要な4機能、導入メリット、そして製品選定のポイントまでを網羅的に解説してきました。クラウドサービスの活用がビジネス成長の鍵となる現代において、CASBはもはや「あれば望ましい」ツールではなく、「不可欠な」セキュリティ基盤となりつつあります。

【おさらい】CASBとは?4つの機能と導入メリットの要点

最後に、本記事の重要なポイントを簡潔にまとめます。

  • CASBとは?

    • ユーザーとクラウドサービスの間に立つ「門番」。複数のクラウドサービスに対し、統一されたセキュリティポリシーを適用する。

  • CASBの主要4機能

    1. 可視化: シャドーITを含む、社内の全クラウド利用状況を把握する。
    2. コンプライアンス: 社内外のルールが守られているかを自動でチェックする。
    3. データセキュリティ: 機密情報へのアクセス制御やDLP機能で情報漏洩を防ぐ。
    4. 脅威防御: 不正アクセスやマルウェアなどのサイバー攻撃からクラウド環境を守る。

  • CASBの導入メリット

    1. セキュリティ強化: 統一ポリシーでクラウド全体のセキュリティレベルを底上げする。
    2. 利便性との両立: シャドーITを管理下に置き、安全なクラウド利活用を促進する。
    3. 工数削減: コンプライアンス遵守と監査対応の負担を大幅に軽減する。

CASBは、単にリスクを防ぐ「守り」のツールではありません。シャドーITを可視化し、安全なサービスを積極的に活用する指針を示すことで、ビジネスの生産性向上に貢献する「攻めのクラウドセキュリティ戦略」を実現するためのソリューションなのです。

クラウドの安全な活用へ、次にとるべきアクション

「自社のクラウド利用状況がどうなっているのか、まずは具体的に知りたい」
「CASB導入のメリットは分かったが、どの製品が自社に合うのか相談したい」

もし、このようにお考えでしたら、ぜひ一度、専門家にご相談ください。
多くのベンダーやインテグレーターが、お客様の現状の課題をヒアリングした上で、最適なCASBソリューションの提案や導入支援を行っています。まずは資料請求無料相談を活用し、貴社のクラウドセキュリティを次のステージへ進めるための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

古田 清秀(ふるた きよひで)
古田 清秀(ふるた きよひで)
InfiniCore株式会社 ソリューションサービス事業本部 責任者 新卒以来30年以上IT業界に在籍し、サイバーセキュリティの最前線で活躍する専門家です。 ネットワークインフラ構築の営業を通じてセキュリティの重要性を痛感。前職では新規セキュリティサービスのプロジェクトマネージャー(PM)として、その立ち上げを成功に導きました。 長年の経験と深い知見を活かし、複雑なセキュリティ課題を分かりやすく解説。企業の安全なデジタル変革を支援するための情報発信を行っています。