
SIEMとは?今さら聞けないEDR/XDRとの違いを5分でわかりやすく解説!自社に必要なのはどっち?
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SIEMとは?今さら聞けない基本を5分でわかりやすく解説
「最近、経営層からセキュリティ強化のプレッシャーが強い…」
「うちの会社、本当にサイバー攻撃から守れているのだろうか…」
情報システム担当者のあなたなら、一度はこんな不安を感じたことがあるのではないでしょうか。日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対し、ファイアウォールやウイルス対策ソフトだけでは、もはや十分な対策とは言えません。
そこで今、注目を集めているのが「SIEM(シーム)」です。言葉は聞いたことがあっても、「EDRやXDRと何が違うの?」「具体的に何ができるの?」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。
この記事では、そんな情報システム担当者のあなたのために、SIEMの基本からEDR/XDRとの決定的な違い、そして自社に最適なツールを選ぶための視点まで、5分で理解できるよう分かりやすく解説します。
SIEMをひと言でいうと「サイバー攻撃の兆候をいち早く見つけ出す監視カメラシステム」
SIEM(Security Information and Event Management)をひと言で表すなら、社内ネットワーク全体の動きを24時間365日監視し、サイバー攻撃の"怪しい兆候"をいち早く検知・通知するための「統合監視カメラシステム」のようなものです。
あなたの会社にも、防犯のために監視カメラが設置されていますよね。SIEMは、そのサイバーセキュリティ版だと考えてください。
サーバー、PC、ネットワーク機器、セキュリティソフトなど、社内にある無数のIT機器は、すべて「ログ」という形で日々の動作記録を吐き出し続けています。しかし、それらは個別の場所に保存されており、人間がすべてを目で見て異常を発見するのは不可能です。
SIEMは、これらのバラバラなログを1箇所に集約し、AIなどの技術を使って自動的に分析。「これは攻撃の準備段階かもしれない」「内部の誰かが不正な操作をしている可能性がある」といった、**攻撃の"予兆"や"兆候"**をリアルタイムで検知し、あなたに知らせてくれるのです。
なぜ今、情報システム担当者がSIEMを知るべきなのか?
「うちは中小企業だから、大企業みたいに狙われないだろう」と考えてはいませんか?その考えは、もはや通用しません。近年、企業の規模を問わず、サプライチェーンの脆弱性を狙った攻撃が増加しており、セキュリティ対策が手薄な中小企業が、大企業への攻撃の足がかりにされるケースが後を絶たないのです。
実際に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した最新の調査でも、その危険性が指摘されています。
2位 サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃
(中略)自組織のセキュリティ対策のみならず、サプライチェーン全体でのセキュリティ対策の推進や、インシデント発生に備えた体制の構築が求められる。
このように、自社だけでなく、取引先全体のセキュリティレベルを考慮する必要がある現代において、組織全体のIT環境を横断的に監視できるSIEMの役割は、ますます重要になっています。
個別のセキュリティ対策だけでなく、全体を俯瞰して脅威を発見する「司令塔」の役割を果たすSIEMについて理解を深めることは、すべての情報システム担当者にとって急務と言えるでしょう。
SIEMが持つ3つの主要な機能
では、具体的にSIEMはどのような機能を持っているのでしょうか。ここでは、SIEMの心臓部とも言える3つの主要な機能について解説します。
機能1:ログ収集・一元管理|社内のあらゆるIT機器の記録を1箇所に集める
SIEMの最も基本的な機能が、ログの収集と一元管理です。
社内には、サーバー、PC、ファイアウォール、プロキシ、各種クラウドサービスなど、多種多様なIT機器やシステムが稼働しています。これらの機器は、それぞれ異なる形式でログを生成・保存しています。
SIEMは、これらの異なるソースから、異なる形式のログを自動的に収集し、後から分析しやすいように統一された形式で1箇所に集約します。これにより、インシデント発生時に「あのサーバーのログはどこだっけ…?」と探す手間がなくなり、迅速な調査が可能になります。
機能2:相関分析|膨大なログから攻撃の"怪しい振る舞い"を自動で検知
集めたログをただ貯めておくだけでは意味がありません。SIEMの真価は、この膨大なログを横断的に分析する「相関分析」にあります。
例えば、以下のような一見すると無関係に見えるログがあったとします。
- 深夜2時に、普段アクセスしないはずの海外IPアドレスから、Aさんのアカウントでファイルサーバーへのログイン試行が多数発生(ファイアウォールのログ)
- その直後、AさんのPCで不審なプログラムが実行される(PCのログ)
- さらにその後、Aさんのアカウントから機密情報データベースへアクセスがある(データベースのログ)
これらを個別に見ていても、単なるログイン失敗やPCの不調と見過ごしてしまうかもしれません。
しかし、SIEMはこれらのログを突き合わせ、「海外からの不正ログイン→マルウェア実行→機密情報へのアクセス」という一連の流れを「攻撃シナリオ」として検知し、「これは高度なサイバー攻撃の可能性が高い」と判断するのです。
機能3:可視化とアラート通知|セキュリティリスクを直感的に把握し、担当者へ知らせる
相関分析によって脅威を検知したら、次はその情報を担当者に分かりやすく伝える必要があります。
SIEMは、検知したセキュリティリスクをダッシュボード上でグラフや図を使って視覚的に表示します。これにより、情報システム担当者は、組織全体のセキュリティ状態を直感的に把握することができます。
「どの部署のどの端末で異常が発生しているのか」「攻撃はどの段階まで進行しているのか」といった状況が一目でわかるため、迅速な意思決定に繋がります。
そして、緊急度が高いと判断された脅威については、即座にメールやチャットツールなどでアラートを通知します。これにより、担当者はインシデントの発生にいち早く気づき、被害が拡大する前に対処することが可能になるのです。
SIEM導入のメリットと注意すべきデメリット
SIEMは非常に強力なツールですが、導入を検討する際にはメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておく必要があります。
メリット:インシデントの早期発見と事後調査の迅速化
最大のメリットは、これまで解説してきた通り、サイバー攻撃の兆候を早期に発見できることです。攻撃者が本格的な活動を始める前にその芽を摘むことができれば、情報漏えいやシステム停止といった最悪の事態を防ぐことができます。
また、万が一インシデントが発生してしまった場合でも、関連するログが一元管理されているため、原因究明や被害範囲の特定にかかる時間を大幅に短縮できます。これにより、事業への影響を最小限に抑え、迅速な復旧と再発防止策の策定に繋がります。
デメリット:導入・運用コストと専門知識の必要性
一方で、デメリットとして挙げられるのがコストと運用の難易度です。
SIEM製品は高機能な分、ライセンス費用やサーバー費用などの導入コストが高額になる傾向があります。また、収集するログの量や分析の複雑さによっては、運用コストも膨らむ可能性があります。
さらに重要なのが、SIEMを使いこなすには高度な専門知識が必要だという点です。SIEMから発せられるアラートが本当に危険なものなのか、それとも誤検知(フォールス・ポジティブ)なのかを判断し、適切に対処するには、セキュリティに関する深い知見と経験が求められます。
「高価なSIEMを導入したはいいが、アラートの嵐に埋もれてしまい、結局使いこなせていない…」という状況に陥らないよう、導入前に運用体制をしっかりと検討する必要があります。
【一覧表で比較】SIEM・EDR・XDRの決定的な違いとは?
SIEMと共によく耳にするセキュリティ用語に「EDR」と「XDR」があります。これらはそれぞれ異なる役割を持っており、その違いを理解することが、自社に最適なツールを選ぶための第一歩です。
それぞれの役割と守備範囲を整理しよう
それぞれのツールを、要人を警護するチームに例えてみましょう。
SIEM:組織全体のログを横断的に監視する「司令塔」
SIEMは、警護対象のビル全体の監視カメラ映像やセンサー情報を一手に集め、異常がないかを24時間監視する「司令塔」です。
ビル内外の様々な場所からの情報を統合的に分析し、「怪しい人物がビルに侵入しようとしている」「複数の場所で同時に不審な動きがある」といった全体的な脅威の兆候をいち早く察知し、現場の警護担当者(SP)に指示を出します。
EDR:PCやサーバーなどエンドポイントを守る「SP」
EDR(Endpoint Detection and Response)は、PCやサーバーといった「エンドポイント」と呼ばれる個々の機器を直接守る「SP(セキュリティポリス)」です。
常に要人(エンドポイント)の側で不審な動きがないかを監視し、万が一、不審者が接触してきた場合(マルウェア感染など)には、即座にその動きを封じ込め、被害の拡大を防ぎます。
(※ここに内部リンクを設置:関連記事「EDRとは?ウイルス対策ソフトとの違いや仕組みを解説」へのリンクを推奨)
XDR:EDRの守備範囲を広げた「次世代のSP」
XDR(Extended Detection and Response)は、EDRの守備範囲をさらに広げた「次世代のSP」です。
PCやサーバーだけでなく、クラウドサービス、メール、ネットワーク機器など、複数のセキュリティレイヤーから情報を収集し、それらを連携させて脅威を検知・対処します。個々のSP(EDR)が見ている情報に加え、周辺の様々な情報も統合して判断するため、より高度で巧妙な脅威に対応できます。
目的・検知範囲・分析対象の違いが一目でわかる比較表
SIEM、EDR、XDRの違いを以下の表にまとめました。
比較項目 | SIEM(司令塔) | EDR(SP) | XDR(次世代のSP) |
|---|---|---|---|
主な目的 | ログの一元管理と相関分析による脅威の可視化・検知 | エンドポイントでの脅威の検知・対応 | 複数のセキュリティレイヤーを横断した脅威の検知・対応 |
守備範囲 | 組織全体のIT環境(広範囲) | PC、サーバーなど個別のエンドポイント(限定的) | エンドポイント、クラウド、ネットワークなど(中〜広範囲) |
分析対象 | ファイアウォール、サーバー、アプリなど多種多様なログ | エンドポイント内のプロセス、ファイル操作、通信など | EDRの情報に加え、クラウドやメールなどのログ |
対応 | アラート通知がメイン(自動対応機能は限定的) | 脅威の隔離、プロセスの停止など自動対応機能が豊富 | EDRと同様、自動対応機能が豊富 |
「SIEMだけ」「EDRだけ」では不十分?組み合わせることで生まれる相乗効果
「結局、どれか一つを導入すれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。SIEMとEDR/XDRは、それぞれ得意な領域が異なるため、組み合わせて利用することで、より強固なセキュリティ体制を築くことができます。
例えば、EDRがエンドポイントで検知したマルウェア感染の情報をSIEMに送信。SIEMはその情報を受け、ファイアウォールのログを照合し、「そのマルウェアは外部のこのIPアドレスと通信している」という事実を突き止め、ネットワーク全体での通信を遮断する、といった連携が可能です。
- EDR/XDR(ミクロの視点):個々の端末で何が起きているかを詳細に把握
- SIEM(マクロの視点):組織全体で何が起きているかを俯瞰的に把握
このように、ミクロとマクロの両方の視点を組み合わせることで、単体のツールでは見つけられなかった巧妙な攻撃を発見し、迅速に対応できるようになるのです。
あなたはどっち?自社に最適なセキュリティツールを選ぶ3つの視点
SIEM、EDR、XDRの違いがわかったところで、次に「自社にはどのツールが最適なのか?」を考えていきましょう。ここでは、3つの視点から最適なツールの選び方を解説します。
視点1:自社のセキュリティ体制と人材リソースで選ぶ
まず考慮すべきは、セキュリティ運用にどれだけの人員を割けるかです。
ケースA:専任のセキュリティ担当者がいる場合
CSIRT(Computer Security Incident Response Team)のような専任のセキュリティチームがあり、高度な知識を持つ人材がいる場合は、SIEMの導入が効果的です。
SIEMから得られる膨大な情報を分析し、独自の知見で脅威ハンティング(潜在的な脅威を探し出す活動)を行うことで、ツールの能力を最大限に引き出すことができます。
ケースB:情報システム担当者が兼任している場合
多くの企業がこのケースに当てはまるでしょう。限られたリソースの中でセキュリティ運用を行う場合、まずはEDRやXDRから導入を検討するのが現実的です。
EDR/XDRは、脅威の検知から対応までをある程度自動化できるため、担当者の負担を軽減しながら、エンドポイントの保護レベルを大きく向上させることができます。アラートの数もSIEMに比べて絞られる傾向にあるため、運用しやすいのが特徴です。
視点2:守りたい対象とセキュリティ課題の優先順位で選ぶ
次に、自社が抱えるセキュリティ課題の中で、何を最優先で解決したいのかを明確にしましょう。
ケースA:内部不正や広範囲の脅威を検知したい
「退職者による情報持ち出しの兆候を掴みたい」「特定のサーバーだけでなく、クラウドサービスも含めて横断的に監視したい」といった、広範囲にわたる脅威や内部不正を可視化したいのであれば、SIEMが適しています。様々なログを組み合わせて分析することで、単一のツールでは見えない脅威の関連性を明らかにします。
ケースB:マルウェア感染など端末の保護を最優先したい
「社員のPCがランサムウェアに感染するのが一番怖い」「標的型メール攻撃による被害を防ぎたい」など、PCやサーバーといったエンドポイントの保護を最優先に考えるなら、EDRまたはXDRが第一候補となります。万が一マルウェアが侵入しても、その場で検知・隔離し、被害の拡大を食い止めることができます。
視点3:将来的なセキュリティ強化のロードマップで選ぶ
最後に、将来的にどのようなセキュリティ体制を目指すのか、という長期的な視点も重要です。
まずはEDRから始めて、将来的にSIEM/XDRへ拡張するプラン
現実的なアプローチとして、まずは喫緊の課題であるエンドポイント保護のためにEDRを導入し、運用に慣れてきた段階で、より広範囲をカバーするXDRへのアップグレードや、SIEMを追加導入して統合的な監視体制を築くというプランです。スモールスタートで着実にセキュリティレベルを向上させることができます。
最初からSIEMを導入して統合的なログ管理基盤を構築するプラン
将来的に様々なセキュリティ製品を導入することを見越して、最初からSIEMを導入し、ログ管理の「共通基盤」として整備するプランです。初期投資は大きくなりますが、将来的な拡張性が高く、あらゆるログを一元的に分析できる体制を早期に確立できるメリットがあります。
SIEM導入で失敗しないために押さえておきたい4つのステップ
SIEMは強力なツールですが、計画なしに導入すると「宝の持ち腐れ」になりかねません。ここでは、導入で失敗しないための4つのステップを紹介します。
ステップ1:「何のために導入するのか」目的を明確にする
最も重要なステップです。「流行っているから」「上層部に言われたから」といった曖昧な理由で導入を進めてはいけません。
- 「内部不正による情報漏えいを早期に検知するため」
- 「インシデント発生時の原因調査にかかる時間を3日以内にするため」
- 「複数のクラウドサービスの利用状況を監査するため」
このように、具体的で測定可能な目的を設定しましょう。目的が明確であれば、必要な機能や収集すべきログの範囲もおのずと決まってきます。
ステップ2:どの範囲のログを収集・分析対象とするか決める
SIEMは理論上、あらゆるログを収集できますが、何もかも集めようとするとコストが膨れ上がり、分析のノイズも増えてしまいます。
ステップ1で設定した目的を達成するために、「どの機器の」「どのログが」必要不可欠なのかを洗い出し、優先順位をつけましょう。例えば、「内部不正検知」が目的なら、ファイルサーバーのアクセスログやデータベースの操作ログは必須、といった具合です。
ステップ3:自社で運用可能か?アウトソース(SOC)も視野に入れる
前述の通り、SIEMの運用には専門知識が必要です。もし自社に十分なスキルを持つ人材がいない場合は、SOC(Security Operation Center)サービスの利用を検討しましょう。
SOCは、セキュリティの専門家が24時間365日体制でSIEMを監視・分析し、脅威が検知された際には対処法のアドバイスまで行ってくれるアウトソーシングサービスです。自社で人材を育成するよりも、早く、高いレベルのセキュリティ運用を実現できる場合があります。
ステップ4:スモールスタートで導入効果を検証する
いきなり全社展開するのではなく、まずは特定のシステムや部署に限定して導入し、効果を検証する「スモールスタート」がおすすめです。
小さな範囲で運用ノウハウを蓄積し、課題を洗い出すことで、本格展開する際の失敗リスクを低減できます。また、スモールスタートで得られた成功体験は、全社展開に向けた予算確保や経営層への説明においても、強力な説得材料となるでしょう。
まとめ:SIEMを正しく理解し、自社のセキュリティ対策を次のレベルへ
本記事では、SIEMの基本からEDR/XDRとの違い、そして自社に最適なツールの選び方までを解説してきました。
この記事の重要ポイントをおさらい
- SIEMは、組織全体のログを収集・分析し、脅威の兆候を検知する「司令塔」。
- EDRは、PCやサーバーなどのエンドポイントを守る「SP」。
- XDRは、EDRの守備範囲を広げた「次世代のSP」。
- それぞれ役割が異なり、組み合わせることでセキュリティはさらに強固になる。
- 最適なツールは、「人材」「課題」「将来像」の3つの視点で選ぶ。
- SIEM導入を成功させるには、「目的の明確化」と「スモールスタート」が鍵。
自社に最適なツールはどれか、まずは現状の課題を洗い出すことから始めよう
サイバー攻撃の脅威は、もはや対岸の火事ではありません。この記事を読んで、SIEMをはじめとするセキュリティツールの重要性を感じていただけたのではないでしょうか。
「自社のどこにセキュリティホールがあるのかわからない」
「どのツールが最適なのか、専門家の意見を聞いてみたい」
もし、このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、専門家にご相談ください。現状の課題をヒアリングさせていただき、貴社に最適なセキュリティ対策プランをご提案します。
情報システム担当者として、企業の重要な情報資産を守るという使命を果たすために、今こそ、セキュリティ対策を次のレベルへ引き上げる一歩を踏み出しましょう。


