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ゼロトラスト要件早見表|経営層・担当者が即決できる導入ステップ

目次[非表示]

  1. ゼロトラスト要件とは何か|基本の考え方と注目される背景をわかりやすく解説
  2. ゼロトラスト要件の構成要素|7つの原則と仕組みを徹底解説
  3. ゼロトラスト導入ステップ早見表|企業が即決できる段階的導入計画
  4. ゼロトラスト要件に対応した製品・ソリューションの選定と評価基準
  5. ゼロトラスト導入によるメリット・デメリットと運用時の注意点
  6. ゼロトラスト要件実現に向けて今後押さえるべきポイント【まとめ】

本記事は、企業の経営層や情報システム担当者を対象に、ゼロトラストセキュリティの要件や導入ステップをわかりやすく解説します。
ゼロトラストの基本的な考え方から、実際の導入手順、製品選定のポイント、運用上の注意点まで、最新動向と実践的な情報を網羅しています。
これからゼロトラスト導入を検討する方や、要件整理に悩む方が即決できるよう、早見表や比較表も交えて解説します。

ゼロトラスト要件とは何か|基本の考え方と注目される背景をわかりやすく解説

ゼロトラスト要件とは、従来の「境界型セキュリティ」ではなく、すべてのアクセスや通信を信頼せず、常に検証・監視するという新しいセキュリティモデルの実現に必要な条件や仕組みを指します。
クラウドやリモートワークの普及により、社内外の境界が曖昧になった現代において、ゼロトラストは企業の情報資産を守るための必須要件となっています。
IPAやNISTなどの公的機関も、ゼロトラストの7つの原則や構成要素を示し、企業が取るべき具体的な対策を提案しています。

ゼロトラストとは?従来モデルとの違いと最新動向

ゼロトラストとは、「何も信頼しない」を前提に、すべてのアクセスを都度検証し、最小限の権限でのみ許可するセキュリティモデルです。
従来の境界型セキュリティは、社内ネットワークを安全とみなしていましたが、ゼロトラスト社内外問わず全ての通信を疑い、認証・認可・監視を徹底します。
クラウドサービスやテレワークの普及により、境界のない環境でも安全を確保できる点が注目されています。
最新動向としては、AIによる異常検知や自動化、ゼロトラスト対応製品の多様化が進んでいます。

従来型セキュリティ

ゼロトラスト

社内ネットワークを信頼

全てのアクセスを検証

境界防御が中心

アイデンティティ・デバイス重視

VPNやファイアウォール依存

多層的な認証・監視

普及が進む背景と企業が直面するリスク・課題

ゼロトラストが普及する背景には、クラウドサービスの利用拡大やテレワークの定着、サイバー攻撃の高度化があります。
従来の境界型防御では、内部不正やマルウェア感染、シャドーITなど新たなリスクに対応しきれません。
企業は、情報漏洩やランサムウェア被害、サプライチェーン攻撃など多様な脅威に直面しており、ゼロトラストの導入が急務となっています。
一方で、導入コストや運用負荷、既存システムとの連携などの課題も存在します。

  • クラウド・リモートワークの普及
  • サイバー攻撃の巧妙化
  • 内部不正・情報漏洩リスク
  • 既存システムとの統合課題

ゼロトラストが経営層・担当者に求められる理由

ゼロトラストは単なるIT部門の課題ではなく、企業全体の経営リスク管理に直結します。
情報漏洩やサービス停止は、企業の信頼や事業継続に大きな影響を与えるため、経営層の理解とリーダーシップが不可欠です。
また、現場担当者には、最新の脅威動向や技術トレンドを把握し、実効性のあるセキュリティ対策を選定・運用するスキルが求められます。
ゼロトラストの導入は、全社的な意識改革と継続的な改善活動が成功の鍵となります。

  • 経営リスクの最小化
  • 全社的なセキュリティ意識の向上
  • 現場の運用負荷軽減
  • 法令・ガイドライン対応

ゼロトラスト要件の構成要素|7つの原則と仕組みを徹底解説

ゼロトラスト要件は、IPAやNISTが提唱する7つの原則を中心に構成されています。
これらは、デバイス・ネットワーク・アイデンティティ・ワークロード・データ・可視化と分析・自動化の7要素で、相互に連携しながら全体のセキュリティレベルを高めます。
各要素の役割や実装例を理解することで、自社に最適なゼロトラストアーキテクチャを設計できます。
以下で、それぞれの原則と仕組みを詳しく解説します。

IPA・NISTが示すゼロトラストセキュリティの7つの原則

IPAやNISTが示すゼロトラストセキュリティの7つの原則は、現代の多様なIT環境に対応するための指針です。
これらの原則は、デバイス、ネットワーク、アイデンティティ、ワークロード、データ、可視化と分析、自動化の7つの観点から、全てのアクセスや操作を検証・監視し、最小権限で運用することを求めています。
これにより、内部・外部問わずあらゆる脅威に対して多層的な防御が可能となります。
各原則は単独で機能するのではなく、相互に連携することで、より強固なセキュリティ体制を実現します。

  • デバイスセキュリティ
  • ネットワークセキュリティ
  • アイデンティティセキュリティ
  • ワークロードセキュリティ
  • データセキュリティ
  • 可視化と分析
  • 自動化

ゼロトラスト要件における重要な構成要素とそれぞれの役割

ゼロトラスト要件の構成要素は、企業のIT環境全体を守るために不可欠な役割を担っています。
デバイスセキュリティは、端末の健全性や管理状況を常に確認し、不正なデバイスの接続を防ぎます。
ネットワークセキュリティは、通信経路の暗号化やセグメント化により、侵入や横展開を防止します。
アイデンティティセキュリティは、ユーザーやサービスの認証・認可を厳格に行い、なりすましや権限の濫用を防ぎます。
ワークロードやデータの保護、可視化・自動化も、全体のセキュリティレベルを底上げする重要な要素です。

構成要素

主な役割

デバイス

端末の健全性・管理

ネットワーク

通信の暗号化・分離

アイデンティティ

認証・認可の厳格化

ワークロード

アプリ・サービスの保護

データ

情報資産の暗号化・管理

可視化・分析

状況把握・異常検知

自動化

運用効率化・迅速な対応

アイデンティティ認証・多要素認証・権限管理の具体的実装例

ゼロトラストの実現には、アイデンティティ認証や多要素認証(MFA)、権限管理の徹底が不可欠です。
例えば、シングルサインオン(SSO)とMFAを組み合わせることで、ユーザーの利便性とセキュリティを両立できます。
また、アクセス権限を最小限に設定し、定期的に見直すことで、不要な権限の付与や内部不正のリスクを低減します。
これらの仕組みは、クラウドサービスや社内システム、リモートアクセスなど、あらゆる環境で適用可能です。

  • シングルサインオン(SSO)+多要素認証(MFA)
  • ロールベースアクセス制御(RBAC)
  • 定期的な権限レビュー
  • アクセスログの監査

エンドポイント・ネットワーク・クラウドサービスの可視化と監視

ゼロトラストでは、エンドポイント(端末)、ネットワーク、クラウドサービスの全てを可視化し、リアルタイムで監視することが重要です。
エンドポイント管理ツールやEDR(Endpoint Detection and Response)、SIEM(Security Information and Event Management)などを活用し、異常な挙動や不審なアクセスを即座に検知・対応します。
また、クラウドサービスの利用状況やデータの移動も監視し、シャドーITや情報漏洩リスクを最小化します。
これにより、全体のセキュリティ状況を把握しやすくなり、迅速なインシデント対応が可能となります。

  • EDRによる端末監視
  • SIEMによるログ分析
  • CASBによるクラウド利用の可視化
  • ネットワークトラフィックの常時監視

ゼロトラストモデルでのデバイス・ワークロード・データの安全管理

ゼロトラストモデルでは、デバイスやワークロード(アプリ・サービス)、データの安全管理が不可欠です。
デバイスは登録・認証されたもののみ接続を許可し、OSやアプリの脆弱性管理も徹底します。
ワークロードは、マイクロセグメンテーションやコンテナセキュリティで保護し、データは暗号化やDLP(Data Loss Prevention)で漏洩を防ぎます。
これらの対策を組み合わせることで、攻撃者の侵入や内部不正による被害を最小限に抑えることができます。

管理対象

主な対策

デバイス

認証・脆弱性管理・MDM

ワークロード

マイクロセグメンテーション・監視

データ

暗号化・DLP・アクセス制御

ゼロトラスト導入ステップ早見表|企業が即決できる段階的導入計画

ゼロトラスト導入は一度に全てを切り替えるのではなく、現状分析から段階的に進めることが成功のポイントです。
まずは自社のIT資産やリスクを把握し、優先度の高い領域から要件定義・対策を実施します。
導入ステップを明確にすることで、経営層の意思決定や現場の負担軽減にもつながります。
以下に、企業が即決できる導入計画の流れを早見表でまとめます。

現状分析から要件定義へ|状況把握とリスク評価のポイント

ゼロトラスト導入の第一歩は、現状のIT環境や業務プロセスを正確に把握し、リスク評価を行うことです。
資産(デバイス・アカウント・アプリ・データ)の棚卸しや、既存のセキュリティ対策の有効性を確認します。
また、業務上の重要データやシステム、外部連携の有無、クラウド利用状況なども洗い出し、どこに脆弱性やリスクが潜んでいるかを明確にします。
この分析結果をもとに、ゼロトラストで優先的に強化すべき要件を定義し、段階的な導入計画を策定します。

  • 資産の棚卸し(デバイス・アカウント・データ)
  • 既存対策の評価
  • 業務フロー・クラウド利用の把握
  • リスクの可視化と優先順位付け

ゼロトラストを実現するための段階的導入ステップ

ゼロトラスト導入は、段階的に進めることで現場の混乱やコスト増を防ぎます。
まずはアイデンティティ管理や多要素認証の導入から始め、次にデバイス管理やネットワーク分離、可視化・監視の強化へと進めます。
最終的には、ワークロードやデータの保護、自動化による運用効率化まで拡張します。
各ステップで効果検証と改善を繰り返すことで、無理なく全社的なゼロトラスト体制を構築できます。

ステップ

主な施策

1.現状分析

資産・リスクの把握

2.認証強化

MFA・SSO導入

3.デバイス管理

MDM・EDR導入

4.ネットワーク分離

セグメンテーション

5.可視化・監視

SIEM・ログ分析

6.データ保護

暗号化・DLP

7.自動化

SOAR・運用効率化

業務・働き方の多様化とゼロトラスト運用の自動化・改善策

テレワークやクラウド活用が進む現代では、業務や働き方の多様化に合わせたゼロトラスト運用が求められます。
自動化ツール(SOARなど)を活用し、アラート対応や権限管理、ログ分析などの運用負荷を軽減することが重要です。
また、定期的なポリシー見直しやユーザー教育、インシデント対応の自動化など、継続的な改善活動も不可欠です。
これにより、セキュリティと利便性の両立を実現し、変化するビジネス環境にも柔軟に対応できます。

  • SOARによる運用自動化
  • 定期的なポリシー見直し
  • ユーザー教育・啓発
  • インシデント対応の自動化

IPAや具体的導入事例で学ぶ成功のポイント

IPAや先進企業の導入事例からは、段階的な導入と経営層のコミットメント、現場との連携が成功のカギであることが分かります。
また、現状分析や要件定義を丁寧に行い、無理のない範囲から着実に進めることが重要です。
さらに、運用自動化や可視化ツールの活用、定期的な効果検証と改善活動も、ゼロトラストの定着と効果最大化に寄与します。
これらのポイントを押さえることで、自社に最適なゼロトラスト体制を構築できます。

  • 経営層のリーダーシップ
  • 段階的な導入と現場連携
  • 運用自動化・可視化の活用
  • 定期的な効果検証と改善

ゼロトラスト要件に対応した製品・ソリューションの選定と評価基準

ゼロトラスト要件を満たすためには、自社の環境や業務に合った製品・ソリューションの選定が不可欠です。
主要なゼロトラスト製品には、アイデンティティ管理、EDR、CASB、SIEM、SOARなどがあります。
選定時には、機能や導入実績、運用のしやすさ、コスト、サポート体制などを総合的に評価することが重要です。
また、クラウド・オンプレ・リモートワークなど、利用環境ごとの導入ポイントも押さえておきましょう。

主要なゼロトラスト製品・ツールの特徴と選定時の注意点

ゼロトラスト対応製品には、アイデンティティ管理(IDaaS)、多要素認証(MFA)、EDR、CASB、SIEM、SOARなど多岐にわたるツールがあります。
選定時は、自社のIT環境や運用体制に適合するか、既存システムとの連携性、導入・運用コスト、サポート体制、拡張性などを総合的に評価することが重要です。
また、ベンダーロックインや過剰な機能によるコスト増にも注意が必要です。
導入前にPoC(概念実証)を実施し、現場の運用負荷や実効性を確認することも推奨されます。

  • 自社環境との親和性
  • 既存システムとの連携
  • 運用コスト・サポート体制
  • PoCによる実効性検証

クラウド・オンプレ・リモートワーク環境ごとの導入ポイント

ゼロトラスト導入時は、クラウド、オンプレミス、リモートワークなど利用環境ごとに最適な対策が求められます。
クラウド環境では、IDaaSやCASB、クラウド向けEDRの活用が有効です。
オンプレミスでは、既存ネットワークのセグメント化やSIEMによる監視強化がポイントとなります。
リモートワークでは、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)や多要素認証、端末管理の徹底が不可欠です。
各環境の特性を踏まえた製品選定と運用設計が、全体最適化のカギとなります。

環境

主な導入ポイント

クラウド

IDaaS・CASB・クラウドEDR

オンプレミス

ネットワーク分離・SIEM

リモートワーク

ZTNA・MFA・端末管理

コスト・生産性・安全性のバランスを考えた評価方法

ゼロトラスト製品の評価では、コスト・生産性・安全性のバランスが重要です。
初期導入費用や運用コストだけでなく、業務効率やユーザー体験への影響も考慮しましょう。
また、セキュリティ強度や拡張性、将来的な運用負荷の軽減も評価ポイントです。
複数製品を比較し、必要な機能を過不足なく選定することで、最適な投資対効果を実現できます。
経営層への説明資料やROI(投資対効果)シミュレーションも有効です。

  • 導入・運用コスト
  • 業務効率・ユーザー体験
  • セキュリティ強度・拡張性
  • ROIシミュレーション

ゼロトラスト導入によるメリット・デメリットと運用時の注意点

ゼロトラスト導入には多くのメリットがある一方で、現場や経営層が知っておくべきデメリットや運用上の注意点も存在します。
セキュリティ強化や利便性向上、法令対応のしやすさなどの利点がある一方、初期コストや運用負荷、既存システムとの統合課題なども無視できません。
導入前にメリット・デメリットを整理し、運用体制や改善策を検討することが成功のポイントです。

セキュリティ強化・利便性向上など導入のメリット

ゼロトラスト導入の最大のメリットは、従来の境界型防御では防ぎきれなかった高度なサイバー攻撃や内部不正にも対応できる点です。
多要素認証や最小権限管理、リアルタイム監視により、情報漏洩や不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
また、クラウドやリモートワーク環境でも一貫したセキュリティポリシーを適用できるため、働き方改革や業務効率化にも貢献します。
法令・ガイドライン対応や、顧客・取引先からの信頼向上にもつながる点も大きな利点です。

  • 高度なサイバー攻撃・内部不正への対応力向上
  • クラウド・リモートワークでも一貫したセキュリティ
  • 業務効率化・利便性向上
  • 法令・ガイドライン対応のしやすさ
  • 顧客・取引先からの信頼向上

現場・経営層が知っておきたいデメリット・限界とその対策

ゼロトラスト導入には、初期コストや運用負荷の増加、既存システムとの統合の難しさなどのデメリットも存在します。
また、ユーザーの利便性が一時的に低下する場合や、現場の運用負担が増えることもあります。
これらの課題に対しては、段階的な導入や自動化ツールの活用、ユーザー教育の徹底、現場との密なコミュニケーションが有効です。
経営層はROIやリスク低減効果を明確にし、現場の声を反映した運用設計を心がけましょう。

  • 初期コスト・運用負荷の増加
  • 既存システムとの統合課題
  • 一時的な利便性低下
  • ユーザー教育・現場連携の重要性

継続的な監視・可視化・異常検出による運用の徹底と改善

ゼロトラスト運用では、継続的な監視・可視化・異常検出が不可欠です。
SIEMやEDR、SOARなどのツールを活用し、リアルタイムでのログ分析やアラート対応を自動化することで、運用負荷を軽減しつつ迅速なインシデント対応が可能となります。
また、定期的なポリシー見直しや効果検証、ユーザーからのフィードバックを反映した改善活動も重要です。
これにより、変化する脅威や業務環境にも柔軟に対応できるセキュリティ体制を維持できます。

  • SIEM・EDR・SOARによる自動監視
  • 定期的なポリシー見直し
  • ユーザーフィードバックの活用
  • インシデント対応の迅速化

ゼロトラスト要件実現に向けて今後押さえるべきポイント【まとめ】

ゼロトラスト要件の実現には、技術面だけでなく組織全体の意識改革や継続的な改善が不可欠です。
最新の脅威動向や技術進化をキャッチアップしつつ、自社の業務やリスクに合った対策を選定・運用することが重要です。
経営層と現場が一体となり、段階的かつ柔軟にゼロトラスト化を進めていくことが、今後の企業競争力や信頼性向上につながります。

古田 清秀(ふるた きよひで)
古田 清秀(ふるた きよひで)
InfiniCore株式会社 ソリューションサービス事業本部 責任者 新卒以来30年以上IT業界に在籍し、サイバーセキュリティの最前線で活躍する専門家です。 ネットワークインフラ構築の営業を通じてセキュリティの重要性を痛感。前職では新規セキュリティサービスのプロジェクトマネージャー(PM)として、その立ち上げを成功に導きました。 長年の経験と深い知見を活かし、複雑なセキュリティ課題を分かりやすく解説。企業の安全なデジタル変革を支援するための情報発信を行っています。