
今さら聞けないSASEとVPNの違い。情シスが押さえるべき基本と選び方のコツ
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リモートワーク時代の新常識?SASEとVPNの違いとは
コロナ禍を経て、多くの企業で当たり前となったリモートワーク。場所を選ばない柔軟な働き方は、もはや一過性のトレンドではなく、新しい働き方のスタンダードとして定着しました。しかし、その裏側で情報システム担当者の皆様は、これまで以上に複雑で高度なセキュリティ課題に直面しているのではないでしょうか。
「社外から社内システムへ安全にアクセスさせたいが、VPNの運用管理が限界に近い…」 「クラウドサービスの利用が増え、従来の境界防御モデルではセキュリティが不安だ…」 「パフォーマンスの低下が業務効率に影響しており、従業員から不満の声が上がっている…」
このような悩みは、多くの情シス担当者が抱える共通の課題です。そして、その解決策を探る中で「SASE(サシー)」という言葉を耳にする機会が増えたことでしょう。しかし、「VPNと何が違うのか」「本当に自社に必要なのか」を明確に説明できる方は、まだ少ないかもしれません。
なぜ今、SASEとVPNの違いを理解する必要があるのか
従来のVPN(Virtual Private Network)は、長年にわたりリモートアクセスの安全を確保するための”砦”として機能してきました。しかし、ビジネス環境がクラウド中心へと大きくシフトした現代において、その”砦”だけでは守りきれない領域が拡大しています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024」においても、「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」が組織向けの脅威としてランクインしており、VPN機器の脆弱性を悪用した攻撃が依然として大きなリスクであることが示されています。
2023年上半期において、警察庁に報告のあったランサムウェア被害のうち、感染経路が特定できたものについて、その内訳を見ると、VPN機器からの侵入が71%と最も多く、次いでリモートデスクトップからの侵入が10%でした。
このような状況下で、旧来のVPN運用を続けることは、セキュリティリスクの増大、運用負荷の増加、そしてビジネススピードの低下に直結しかねません。だからこそ今、次世代のソリューションであるSASEとVPNの根本的な違いを正しく理解し、自社の未来にとって最適な選択肢を見極めることが、すべての情報システム担当者に求められているのです。
この記事でわかること:情シスの悩みを解決する3つのポイント
この記事では、多忙な情報システム担当者の皆様が、SASEとVPNに関する疑問を解消し、具体的な次の一歩を踏み出すための知識を提供します。
- 基本の理解: SASEとVPN、それぞれの仕組みとメリット・デメリットをゼロから分かりやすく解説します。
- 明確な比較: 5つの重要ポイントから、両者の決定的な違いを客観的に比較し、その差を明らかにします。
- 実践的な選び方: 自社に最適なソリューションはどちらかを見極めるための具体的な判断基準と、導入で失敗しないための選定ポイントを提示します。
この記事を読み終える頃には、あなたはSASEとVPNの違いを明確に理解し、自社のセキュリティ戦略を次のステージへと進めるための具体的な道筋を描けるようになっているはずです。
【基本の「き」】
まずはSASEとVPN、それぞれの仕組みを理解しよう
SASEとVPNの違いを比較する前に、まずはそれぞれの技術が「何であり、どのように機能するのか」という基本をしっかりと押さえておきましょう。この基礎知識が、後の比較や選定の理解を深める土台となります。
従来のリモートアクセスを支える「VPN」とは?
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的な専用線を設定し、安全な通信経路を確保する技術です。多くの企業で、リモートワークや拠点間接続のセキュリティを担保するために長年利用されてきました。
VPNの仕組み:社内ネットワークへの安全なトンネル
VPNの仕組みは、しばしば「トンネリング」という言葉で説明されます。これは、送信者と受信者の間に、外部から中身を見られないように暗号化された仮想的な「トンネル」を作るイメージです。
従業員が自宅や外出先から社内サーバーのファイルにアクセスする場合、PCにインストールされたVPNクライアントソフトが、データセンターに設置されたVPNゲートウェイとの間に暗号化されたトンネルを構築します。このトンネルを通るデータはすべて暗号化されるため、第三者による盗聴や改ざんのリスクを大幅に低減できます。
つまり、VPNは**「社外にいるユーザーを、仮想的に社内ネットワークの一員として接続させる」**ための技術と言えるでしょう。
VPNのメリットと、現代で顕在化する課題
VPNは、特定の拠点(データセンター)にアクセスを集約させるシンプルな構成で、導入実績も豊富なため、多くの企業にとって馴染み深いソリューションです。
VPNの主なメリット:
- 高い安全性: 通信が暗号化されるため、安全に社内リソースへアクセスできる。
- 導入コスト: オンプレミス型の機器は初期費用がかかるが、比較的安価なサービスも多い。
- 実績と安定性: 長年の利用実績があり、技術的に成熟している。
一方で、働き方やIT環境の変化に伴い、VPNはその構造的な課題が顕在化しています。
VPNが抱える現代の課題:
- パフォーマンスのボトルネック: すべての通信がデータセンターを経由するため、特にMicrosoft 365やSalesforceなどのクラウドサービスへのアクセスが集中すると、通信が遅延しやすい。
- 運用管理の負荷: 機器の保守、ID/パスワード管理、脆弱性対応など、情シスの運用負荷が高い。特に利用者の増減や拠点の追加に柔軟に対応しにくい。
- セキュリティの限界: 一度VPNに接続を許可すると、社内ネットワーク内のリソースに広範囲にアクセスできてしまう可能性があり、「ゼロトラスト」の考え方とは相容れない。
- クラウドサービスとの相性の悪さ: 本来直接アクセスすれば快適なクラウドサービスへも、一度社内を経由させるため非効率。
これらの課題は、リモートワークとクラウド利用が常態化した現代において、無視できない問題となっています。
次世代のネットワークセキュリティ「SASE」とは?
SASE(Secure Access Service Edge、サシー)は、2019年に米国の調査会社であるガートナー社が提唱した、新しいネットワークセキュリティの概念です。これまでの「社内・社外」という境界線を前提としたセキュリティモデルではなく、ユーザーやデバイスがどこにあっても一貫した安全なアクセスを提供するという考え方に基づいています。
SASEの仕組み:ネットワークとセキュリティをクラウドで統合
SASEの最大の特徴は、これまで個別に導入・運用されてきた**「ネットワーク機能」と「セキュリティ機能」を、クラウド上で統合して提供する**点にあります。
具体的には、以下のような機能を単一のクラウドプラットフォームから提供します。
- ネットワーク機能(SD-WANなど): 通信経路を最適化し、ユーザーがどこにいても快適なアクセスを実現。
- セキュリティ機能(SWG, CASB, ZTNA, FWaaSなど): 不正なWebサイトへのアクセスをブロックしたり、クラウドサービスの利用を可視化・制御したり、アクセス権限を厳格に管理したりする。
ユーザーが社内リソースやクラウドサービスにアクセスしようとすると、通信はまずSASEのクラウド基盤に接続されます。そこでユーザー認証やセキュリティポリシーのチェックが行われ、安全が確認された通信のみが目的の宛先へ転送されます。この仕組みにより、ユーザーがどこにいても、オフィスにいる時と同じレベルのセキュリティと利便性を享受できるのです。
SASEが解決するVPNの課題と導入のメリット
SASEは、前述したVPNの課題を解決するために生まれました。
SASEの主なメリットと解決策:
- パフォーマンス向上: ユーザーに最も近いアクセスポイント(PoP: Point of Presence)で通信を処理し、クラウドサービスへ直接接続するため、遅延が少ない。VPNのようなボトルネックが発生しない。
- 運用負荷の軽減: ネットワークとセキュリティの機能がクラウドサービスとして提供されるため、ハードウェアの管理やアップデート作業から解放され、情シスの運用負荷を大幅に削減できる。
- ゼロトラストセキュリティの実現: 「何も信頼しない」を前提に、アクセスごとにユーザーやデバイスを検証・認可する(ZTNA)。VPNのように一度接続したら内部にフリーアクセス、とはならないため、セキュリティが大幅に向上する。
- 場所を問わない一貫したポリシー適用: オフィス、自宅、外出先など、ユーザーがどこからアクセスしても同じセキュリティポリシーを一元的に適用できる。
SASEは、まさに現代のハイブリッドワーク環境に最適化された、新しいネットワークセキュリティの形と言えるでしょう。次の章では、このSASEとVPNの違いをさらに詳しく比較していきます。
【徹底比較】一目でわかる!SASEとVPNの決定的な違い
SASEとVPNの基本的な仕組みを理解したところで、次はその「決定的な違い」を多角的に比較していきましょう。情報システム担当者がソリューションを選定する上で特に重要となる5つのポイントに絞って、その違いを明確にします。
比較表で解説!SASE vs VPN 5つの重要比較ポイント
比較ポイント | VPN (Virtual Private Network) | SASE (Secure Access Service Edge) |
|---|---|---|
① アーキテクチャ | 境界防御型(データセンター中心) | ゼロトラスト(ユーザー/デバイス中心) |
② セキュリティ機能 | 単機能(暗号化通信が主) | 統合型(SWG, CASB, ZTNA等をクラウドで提供) |
③ パフォーマンス | データセンター経由で遅延しやすい | クラウドへ直接接続し高速・快適 |
④ 運用管理 | 機器の保守・管理が煩雑 | クラウドベースで一元管理・効率的 |
⑤ コスト | 機器の初期費用+運用人件費 | サブスクリプションが主(初期費用抑制) |
この表が示すように、両者は設計思想から運用に至るまで、あらゆる面で対照的です。それぞれのポイントをさらに深掘りしていきましょう。
アーキテクチャの違い:境界防御型(VPN) vs ゼロトラスト(SASE)
最も根本的な違いは、セキュリティの考え方、すなわちアーキテクチャにあります。
- VPN(境界防御型): 「社内は安全、社外は危険」という前提に立ち、社内ネットワークの”境界”を守ることに主眼を置いています。一度VPNで”境界”の内側に入ってしまえば、比較的自由に内部リソースにアクセスできる構成になりがちです。これは、万が一不正侵入を許した場合に、被害が内部で横展開(ラテラルムーブメント)しやすいというリスクをはらんでいます。
- SASE(ゼロトラスト): 「すべてのアクセスは信頼できない」という”ゼロトラスト”の原則に基づいています。ユーザーが社内リソース、クラウドサービス、Webサイトのいずれにアクセスする場合でも、その都度「誰が」「どの端末で」「何に」アクセスしようとしているのかを検証し、最小限の権限のみを付与します。これにより、不正アクセスによる被害を最小限に食い止めることができます。
セキュリティ機能の違い:単機能(VPN) vs 統合型(SASE)
提供されるセキュリティ機能の範囲も大きく異なります。
- VPN: 主な機能は、通信経路を**「暗号化」**することです。もちろんこれは非常に重要な機能ですが、昨今の多様なサイバー攻撃を防ぐには不十分です。そのため、多くの企業ではVPNに加えて、ファイアウォール、URLフィルター、アンチウイルスなどのセキュリティ製品を個別に導入・運用する必要がありました。
- SASE: ネットワーク機能と多様なセキュリティ機能を**「統合」**して提供します。具体的には、危険なWebサイトへのアクセスを防ぐSWG(セキュアWebゲートウェイ)、クラウドサービスの利用を制御するCASB(キャスビー)、そしてゼロトラストアクセスを実現するZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)といった複数の機能を、単一のプラットフォームで利用できます。これにより、セキュリティレベルの向上と運用の一元化を同時に実現します。
パフォーマンスと利便性の違い:通信のボトルネックは解消されるか?
従業員の生産性に直結するパフォーマンスと利便性にも、明確な差が生まれます。
- VPN: すべての通信を一度データセンターに集約する「ヘアピン通信(tromboning)」が発生するため、特にクラウドサービス利用時のパフォーマンス低下が深刻な課題です。Web会議が途切れる、大容量ファイルのダウンロードに時間がかかるといった問題は、従業員のストレスとなり、業務効率を著しく低下させます。
- SASE: 世界中に分散配置されたアクセスポイント(PoP)を利用し、ユーザーは最寄りのPoPに接続します。そこからインターネットやクラウドサービスへ直接、最適化された経路で通信するため、遅延が大幅に改善されます。これにより、従業員はどこにいても快適な通信環境で業務に集中できます。
運用管理とコストの違い:情シスの負担を軽減するのはどちらか?
最後に、情報システム担当者の日々の業務に最も影響する運用管理とコストの側面です。
- VPN: 物理的なアプライアンスの保守、ソフトウェアのアップデート、脆弱性対応、ユーザーアカウントの管理など、情シスの運用負荷は非常に高い傾向にあります。また、ユーザー数やトラフィック量の増加に対応するためには、機器の増設や買い替えが必要となり、突発的なコストが発生することもあります。
- SASE: クラウドサービスとして提供されるため、ハードウェアの管理は不要です。セキュリティポリシーの設定やユーザー管理も、単一の管理画面から一元的に行えるため、運用が大幅に効率化されます。コスト面では、ユーザー数に応じたサブスクリプションモデルが一般的で、スモールスタートや柔軟な拡張がしやすく、TCO(総所有コスト)の削減に繋がります。
これらの比較から、SASEが現代のビジネス環境が求める要件にいかに適合しているかが見えてきます。では、具体的にどのような状況であれば、SASEへの移行を検討すべきなのでしょうか。
【実践編】
自社に最適なのはどっち?失敗しない選び方のコツ
SASEとVPNの技術的な違いを理解した上で、最も重要なのは「自社の状況に照らし合わせて、どちらが最適か」を判断することです。この章では、具体的な判断基準と、導入で失敗しないための選定ポイントを解説します。
あなたの会社は大丈夫?VPNのままで良いケース、見直すべきケース
すべての企業が今すぐSASEに移行すべき、というわけではありません。企業の規模や業態、IT環境によっては、VPNが依然として有効な選択肢となる場合もあります。
VPNが依然として有効なシナリオ
以下のようなケースでは、既存のVPN環境を継続利用することも合理的と考えられます。
- リモートワーカーがごく少数: 従業員のほとんどがオフィスに出社しており、リモートアクセスが必要なのは一部の役職者や出張者などに限定されている。
- クラウドサービスの利用が少ない: 主に利用するシステムが社内のデータセンターに集約されており、外部クラウドサービスの利用はほとんどない。
- 拠点数が少ない: 本社と少数の支店のみで、拠点間通信の要件がシンプル。
- 現状のパフォーマンスや運用に大きな問題がない: ユーザーから遅延に関するクレームがなく、情シスの運用負荷も許容範囲内である。
もしあなたの会社がこれらの条件に複数当てはまるのであれば、急いでSASEへ移行する必要はないかもしれません。ただし、将来的な事業拡大や働き方の変化を見据え、SASEを次世代の選択肢として常に情報収集しておくことは重要です。
SASEへの移行を検討すべき5つのサイン
一方で、以下のような「サイン」が見られる場合、それはVPNの限界が近づいている証拠です。SASEへの移行を本格的に検討すべきタイミングと言えるでしょう。
- サイン1:従業員から「Web会議が固まる」「クラウドが遅い」という声が頻繁に上がる。 → 明らかなパフォーマンスのボトルネックが発生しており、業務効率の低下を招いています。
- サイン2:Microsoft 365, Salesforce, AWS/Azureなど、複数のクラウドサービス利用が常態化している。 → 境界防御モデルでは、クラウド利用のセキュリティ担保とトラフィック制御が追いつかなくなっています。
- サイン3:リモートワークやハイブリッドワークが恒久的な制度として定着している。 → ユーザーがどこにいても一貫したセキュリティとパフォーマンスを提供する必要があります。
- サイン4:VPN機器の脆弱性対応やID管理など、リモートアクセスに関する運用負荷が増大している。 → 情シスが本来注力すべき戦略的な業務の時間を、日々の運用が圧迫しています。
- サイン5:ゼロトラストセキュリティへの移行を経営層やセキュリティ部門から求められている。 → 境界防御を前提とするVPNでは、ゼロトラストの実現は困難です。
これらのサインに一つでも心当たりがあれば、SASEは現状の課題を解決する強力なソリューションとなり得ます。
SASE導入で失敗しないための選定ポイント3選
「よし、SASEを検討しよう」と決めた次に訪れるのが、「どのベンダーのSASE製品を選べばよいのか?」という課題です。ここでは、数あるSASEソリューションの中から自社に最適なものを選ぶための3つの重要ポイントをご紹介します。
ポイント1:必要なセキュリティ機能は網羅されているか
SASEは統合ソリューションですが、ベンダーによって提供される機能の範囲や得意分野は異なります。まずは自社のセキュリティ要件を洗い出し、それを満たす機能を備えているかを確認しましょう。
チェックリスト例:
- SWG (セキュアWebゲートウェイ): 悪性サイトへのアクセスブロック、URLフィルタリング機能は十分か?
- CASB (クラウドアクセスセキュリティブローカー): 利用しているクラウドサービスを可視化・制御(シャドーIT対策)できるか?
- ZTNA (ゼロトラストネットワークアクセス): アプリケーション単位での細かいアクセス制御が可能か?
- FWaaS (Firewall as a Service): クラウド型のファイアウォール機能を提供しているか?
- DLP (情報漏洩対策): 機密情報のアップロード/ダウンロードを検知・ブロックできるか?
すべての機能が必要とは限りません。自社のリスクシナリオに合わせて、必要な機能を過不足なく提供してくれるベンダーを選定することが重要です.
ポイント2:国内外の拠点に対応できるパフォーマンスか
SASEのメリットである快適なパフォーマンスを確実に享受するためには、ベンダーが提供するクラウド基盤(PoP:アクセスポイント)の性能と配置が重要になります。
確認すべきポイント:
- PoPの所在地: 自社の主要拠点(国内・海外)の近くにPoPが設置されているか?PoPが遠いと、結局遅延が発生する原因になります。
- ネットワーク品質: ベンダー間のネットワーク接続品質は十分か?SLA(品質保証制度)の内容を確認しましょう。
- 拡張性: 将来的に海外展開や拠点増加を計画している場合、グローバルに対応できる基盤を持っているか?
特にグローバルに事業を展開している企業にとっては、世界中にPoPを持つ大手ベンダーが有利になる傾向があります。
ポイント3:既存環境との連携とサポート体制は万全か
SASEは多くのシステムと連携して機能するため、既存環境とのスムーズな連携が可能かどうかは非常に重要です。
確認すべきポイント:
- ID管理システムとの連携: Azure AD (Entra ID) や Okta など、既存のIdPと連携してシングルサインオン(SSO)を実現できるか?
- SIEM/SOCとの連携: ログを外部の監視システムに転送し、インシデント分析に活用できるか?
- 導入・運用サポート: 導入時の設計支援や、導入後の問い合わせに対応する日本語サポート体制は充実しているか?技術的な問題が発生した際に、迅速に対応してくれるパートナー企業の存在も心強い要素です。
【具体例】ケーススタディで見るSASE導入の成功事例
【課題】 従業員300名の中堅製造業A社。コロナ禍を機に全社でリモートワークを導入。従来のVPNでは、朝のログイン集中による認証サーバーのダウンや、設計部門が利用するCADデータ(大容量)のダウンロードに時間がかかり、生産性が著しく低下。情シスはVPNの運用とヘルプデスク対応に追われていた。
【SASE導入による解決】 A社はZTNAとSWG機能を持つSASEソリューションを導入。
- パフォーマンス改善: クラウドサービスへのアクセスはデータセンターを経由せず、直接インターネットへ抜ける経路(ローカルブレイクアウト)に変更。CADデータへのアクセスもZTNAによりセキュアかつ高速になった。
- セキュリティ強化: 全てのアクセスをゼロトラストの原則で検証。社外からのマルウェア感染リスクや、内部からの不正なデータ持ち出しリスクを低減。
- 運用負荷軽減: クラウドから全社のポリシーを一元管理できるようになり、VPNアプライアンスの保守から解放。情シスは空いた時間で、社内DX推進などの戦略的業務に注力できるようになった。
【結果】 従業員の満足度が向上し、リモートワーク環境下での生産性が約20%向上。情シスの残業時間も大幅に削減され、より価値の高い業務にシフトすることに成功した。
まとめ:
SASEとVPNの違いを理解し、次世代のセキュリティ戦略へ
本記事では、リモートワーク時代の新たな常識となりつつあるSASEと、従来のリモートアクセスを支えてきたVPNについて、その根本的な違いから実践的な選び方までを解説してきました。
【おさらい】SASEとVPN、情シスが押さえるべきポイントの総括
最後に、情報システム担当者として押さえておくべき最も重要なポイントを振り返りましょう。
- VPNは「境界」を守る技術: データセンター中心の設計で、社内ネットワークへの安全な「トンネル」を提供する。しかし、クラウド時代にはパフォーマンスのボトルネックや運用負荷の増大が課題となる。
- SASEは「ユーザー」を守る技術: ゼロトラストの思想に基づき、ネットワークとセキュリティをクラウドで統合。ユーザーがどこにいても、安全で快適なアクセスを実現する。
- 選択の決め手は「働き方」と「IT環境」: クラウド利用が多く、ハイブリッドワークが中心の企業にはSASEが最適。一方、オンプレミス中心でリモート利用者が少ない場合は、VPNも依然として有効な選択肢。
- SASE選定は「機能」「性能」「サポート」が鍵: 自社の要件を満たす機能、国内外をカバーするパフォーマンス、そして信頼できるサポート体制の3つの軸で評価することが成功の秘訣。
ハイブリッドワーク時代を乗り切るための第一歩
SASEとVPNの違いを理解することは、単なる技術選定にとどまりません。それは、変化し続けるビジネス環境の中で、いかにして企業の生産性と安全性を両立させるかという、経営課題そのものに対する答えを探すプロセスです。
「自社の場合は、具体的にどのような構成が最適なのか?」 「導入にかかるコストや期間について、もっと詳しく知りたい」
もし、このような疑問やご関心をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。貴社の現状の課題や将来のビジョンをヒアリングさせていただき、数多くの選択肢の中から最適な次世代ネットワークセキュリティの形をご提案いたします。
ハイブリッドワーク時代の複雑な課題を解決し、ビジネスを加速させるための第一歩を、共に踏み出しましょう。まずは無料相談、または詳しい資料のダウンロードからお気軽にお問い合わせください。


