
今さら聞けないゼロトラストとSASEの違いとは?情シス担当者向けに徹底解説
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「ゼロトラスト」と「SASE」、正しく説明できますか?はじめに
「ゼロトラスト」と「SASE」。ここ数年、情報システム部門の担当者であれば、この2つのキーワードを耳にしない日はないのではないでしょうか。経営層や他部門から「うちはゼロトラストに対応できているのか?」「SASEを導入すべきでは?」といった問いを投げかけられ、その違いや関係性を明確に説明することに苦心している方も少なくないはずです。
なぜ今、この2つのキーワードが情シスの重要課題なのか?
その背景には、企業を取り巻くIT環境の劇的な変化があります。かつては社内と社外を明確に区別し、その境界線を守る「境界型防御」がセキュリティの常識でした。しかし、その常識はもはや通用しません。
リモートワークの常態化、クラウドサービス(SaaS)利用の爆発的な増加、そして巧妙化・悪質化の一途をたどるサイバー攻撃。これらの変化は、情報システム部門に新たな、そしてより複雑な課題を突きつけています。もはや、旧来のセキュリティモデルでは、現代のビジネス環境を守り抜くことは極めて困難なのです。
Zscalerが2023年2月に発表したレポートによると、日本企業の94%がゼロトラストの導入を進めていると回答しています。しかしその一方で、クラウドインフラの潜在能力を最大限に活用できていると強く確信しているのは、わずか17%に留まっています。このギャップは、多くの企業がゼロトラストの必要性を認識しつつも、その具体的な実現方法に課題を抱えている現状を浮き彫りにしています。
この課題に対する答え、そして次世代のセキュリティを考える上で欠かせないピースが、「ゼロトラスト」という考え方と、「SASE」というアーキテクチャなのです。
リモートワークとクラウド化で崩壊した「境界型防御」の神話
従来の「境界型防御」は、オフィスという「城」の内側は安全、外側は危険という性善説に基づき、城壁(ファイアウォール)と門(VPN)で内外を区切るモデルでした。しかし、リモートワークで社員が城の外(自宅など)から働くようになり、利用するアプリケーションも城の中(オンプレミス)から城の外(クラウド)へと移り変わった今、「守るべき境界線」は曖昧になり、事実上消滅してしまいました。
この状況でVPNにアクセスが集中して業務に支障が出たり、クラウドサービスの利用状況を把握しきれずセキュリティリスクが増大したりといった問題は、多くの情報システム担当者が直面している「あるある」ではないでしょうか。こうした「脱・境界線」時代の新たな課題を解決するために、ゼロトラストとSASEは生まれました。
この記事でわかること:2つの違いと関係性、導入の勘所までを網羅
この記事では、情報システム部門の皆様が「ゼロトラスト」と「SASE」について、自信を持って説明し、自社の状況に合わせた導入を検討できるようになることを目指します。
- ゼロトラストとは何か? その基本的な考え方と実現技術を解説
- SASEとは何か? その仕組みとゼロトラストとの関係性を解き明かす
- 2つの決定的な違い を比較表で分かりやすく整理
- 自社に最適なアプローチ を見つけるための導入検討ガイド
「今さら聞けない」とはもう言わせない。本記事を読めば、ゼロトラストとSASEの違いと関係性が明確になり、次世代セキュリティへの第一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えてくるはずです。
まずは基本から!
セキュリティの新たな概念「ゼロトラスト」を徹底解説
SASEを理解する上で、その根底に流れる「ゼロトラスト」の思想を把握することが不可欠です。まずは、この新しいセキュリティの概念から詳しく見ていきましょう。
ゼロトラストとは?「何も信頼しない、すべてを検証する」という考え方
ゼロトラスト(Zero Trust)とは、その名の通り**「何も信頼せず(Trust No One)、すべてのアクセスを検証する(Verify Everything)」**という考え方に基づくセキュリティモデルです。
従来の境界型防御が「社内ネットワークは安全」という前提(性善説)に立っていたのに対し、ゼロトラストは**「社内・社外を問わず、いかなるアクセスも信頼できない」という前提(性悪説)**に立ちます。つまり、すべてのユーザー、デバイス、アプリケーションからのアクセス要求を、それが社内LANからのものであっても、毎回厳格に検証し、必要最小限の権限のみを与えるというアプローチです。
性善説から性悪説へ:セキュリティパラダイムの転換
このパラダイムシフトは、例えるなら、一度城門をくぐれば自由にどこへでも行けた「城郭モデル」から、建物に入るたび、部屋に入るたびにIDカードの提示と厳格な本人確認が求められる「重要施設モデル」への変化と言えます。この徹底した検証プロセスにより、たとえ攻撃者がネットワーク内部への侵入に成功したとしても、機密情報などの重要資産へ簡単にアクセスすることを防ぎ、被害を最小限に食い止めることが可能になります。
ゼロトラストが求められるようになった3つの背景
- 働き方の多様化(リモートワークの普及): 社員が自宅やカフェなど、あらゆる場所から社内リソースにアクセスするようになり、「社内=安全」という前提が崩壊しました。
- クラウドサービスの利用拡大: データやアプリケーションが社内サーバーだけでなく、複数のクラウドサービス上に分散するようになり、守るべき境界線が曖昧になりました。
- サイバー攻撃の高度化: 標的型攻撃やランサムウェアなど、内部ネットワークへの侵入を前提とした攻撃が増加し、侵入後の水平展開(ラテラルムーブメント)を防ぐ対策が急務となりました。
ゼロトラストを実現するための主要な3つの技術要素
ゼロトラストはあくまで「概念」であり、特定の一つの製品を導入すれば実現できるものではありません。以下の3つの技術要素を組み合わせて、多層的に実装していく必要があります。
1. 認証と認可の強化(IDaaS / IAM)
「誰が」アクセスしているのかを厳格に確認する仕組みです。
- IDaaS (Identity as a Service) / IAM (Identity and Access Management): IDとパスワードの管理を一元化し、多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)を導入することで、不正アクセスを防止します。アクセスのたびに本人確認を行い、そのユーザーの役職や権限に応じて、アクセスできる範囲を動的に制御します。
2. デバイスの監視と管理(EDR / MDM)
「どのデバイスから」アクセスしているのかを検証し、その安全性を確保する仕組みです。
- EDR (Endpoint Detection and Response): PCやサーバーなどのエンドポイントを常時監視し、不審な挙動を検知・対応します。
- MDM (Mobile Device Management): スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを一元管理し、セキュリティポリシーを適用します。OSが最新か、セキュリティソフトが正常に稼働しているかなどをチェックし、安全でないデバイスからのアクセスをブロックします。
3. ネットワークの最小化(マイクロセグメンテーション)
ネットワーク内部を細かく分割し、アクセス権限を最小化することで、万が一侵入された際の被害拡大を防ぐ仕組みです。
- マイクロセグメンテーション: ネットワークをアプリケーションやサーバー単位で細かく分離し、それぞれのセグメント間で厳格なアクセスコントロールを行います。これにより、攻撃者が一つのサーバーを乗っ取っても、他のサーバーへ容易に侵入(水平展開)することを防ぎます。
このように、ゼロトラストは「ID」「デバイス」「ネットワーク」の各要素を連携させ、「すべてを検証する」ことでセキュリティを確保するのです。
次に理解すべき「SASE(サシー)」とは何か?アーキテクチャを理解する
ゼロトラストが「何をすべきか」という思想・概念であるのに対し、それを「どのように実現するか」という具体的な仕組み・アーキテクチャが「SASE」です。
SASEとは?ネットワークとセキュリティを統合したクラウドサービス
SASE(Secure Access Service Edge、サシー)とは、米国の調査会社ガートナーが2019年に提唱した、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合し、単一のサービスとして提供するアーキテクチャのことです。
従来は、拠点ごとにファイアウォールやVPN機器などのセキュリティアプライアンスを設置し、通信をデータセンターに集約(集約型モデル)するのが一般的でした。しかし、このモデルでは、クラウドサービスへのアクセスが増えるにつれて、データセンターの負荷増大や通信遅延といった問題が生じます。
SASEは、これらの機能をクラウド上のエッジ(利用者に近い場所)で提供することにより、ユーザーがどこにいても、どのデバイスからでも、安全かつ高速にクラウドサービスや社内リソースへアクセスできる環境を実現します。
SASEが解決する「脱・境界線」時代の課題
- パフォーマンスの向上: クラウドサービスへの通信をデータセンター経由ではなく、最寄りのアクセスポイントから直接インターネットへ抜けさせる(インターネットブレイクアウト)ことで、通信の遅延を解消します。
- セキュリティの一元化: 場所を問わず、すべての通信に対して一貫したセキュリティポリシーを適用できます。これにより、本社、支社、リモートワーカー間でのセキュリティレベルのばらつきを防ぎます。
- 運用負荷の軽減: 複数のセキュリティ機能をクラウドサービスとして利用するため、拠点ごとの機器の導入や管理、アップデートといった運用負荷を大幅に削減できます。
ゼロトラストとの関係性:SASEはゼロトラスト実現の手段
ここで重要なのが、ゼロトラストとSASEの関係です。前述の通り、**ゼロトラストは「思想」、SASEはそれを実現するための「手段(アーキテクチャ)」**です。
SASEのアーキテクチャには、ゼロトラストの原則である「何も信頼せず、すべてを検証する」を実践するための機能が、コンポーネントとして組み込まれています。つまり、SASEを導入することは、ゼロトラストを実現するための非常に有力なアプローチとなるのです。
SASEを構成する5つのコア機能
ガートナーは、SASEを構成する主要な機能として、以下の5つを定義しています。
1. SD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)
物理的なネットワーク機器に依存せず、ソフトウェアで拠点間のネットワークを柔軟に制御する技術です。通信の可視化や、回線の状況に応じたトラフィックの最適化などを行います。
2. SWG(セキュアWebゲートウェイ)
ユーザーがインターネットにアクセスする際のセキュリティを確保する機能です。URLフィルタリング、アンチウイルス、サンドボックスなどの機能により、不正なサイトへのアクセスやマルウェア感染を防ぎます。
3. CASB(キャスビー)
社員によるクラウドサービス(SaaS)の利用状況を可視化・制御する機能です。どのサービスが、誰によって、どのように使われているかを把握し、シャドーITの防止や、機密情報のアップロード制限などを行います。
4. FWaaS(サービスとしてのファイアウォール)
従来のアプライアンス型ファイアウォールの機能をクラウドサービスとして提供するものです。拠点やユーザーの場所を問わず、一貫したファイアウォールポリシーを適用できます。
5. ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)
ゼロトラストの原則に基づき、社内アプリケーションやデータへのアクセスを制御する仕組みです。VPNの後継技術とされ、ユーザーとデバイスを厳格に認証し、許可されたアプリケーションへのアクセスのみを最小限の権限で許可します。
これらのネットワーク機能(SD-WAN)とセキュリティ機能(SWG, CASB, FWaaS, ZTNA)をクラウド上で一つに束ねたものがSASEなのです。
【本題】
ゼロトラストとSASEの決定的な違いと密接な関係
ここまでゼロトラストとSASEをそれぞれ解説してきましたが、いよいよ本題である「両者の違いと関係性」を整理していきましょう。
結論:「思想・概念」のゼロトラストと、「仕組み・解決策」のSASE
最もシンプルに表現するならば、両者の違いは以下の通りです。
- ゼロトラスト: 「何も信頼せず、すべて検証する」というセキュリティの 思想・概念・哲学。
- SASE: ゼロトラストの思想を実現するために、ネットワークとセキュリティ機能をクラウドで統合した 仕組み・アーキテクチャ・解決策。
「家を安全にしたい」という目的(思想)がゼロトラストだとすれば、そのために「最新のセキュリティシステム(監視カメラ、電子錠、センサー等)を統合した防犯サービスを導入する」という具体的な解決策がSASEに当たります。
<比較表で一目瞭然!目的、アプローチ、構成要素の違い>
項目 | ゼロトラスト (Zero Trust) | SASE (Secure Access Service Edge) |
|---|---|---|
分類 | セキュリティの思想・概念・フレームワーク | ネットワークとセキュリティのアーキテクチャ |
目的 | ネットワークの内外を問わず、データやリソースへのアクセスを保護すること | ユーザーがどこにいても安全かつ最適なネットワークアクセスを提供すること |
アプローチ | 「決して信頼せず、常に検証する」原則に基づき、アクセス要求ごとに認証・認可を行う | ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合し、一元的に提供する |
主な構成要素 | ID管理、多要素認証、デバイス管理、マイクロセグメンテーションなど | SD-WAN, SWG, CASB, FWaaS, ZTNA など |
キーワード | 検証 (Verify), 最小権限, 性悪説 | クラウドネイティブ, 統合 (Convergence), エッジ |
なぜ混同されやすい?ZTNAが繋ぐゼロトラストとSASEの関係性
多くの人がゼロトラストとSASEを混同してしまう最大の理由は、SASEのコア機能の一つに「ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)」が含まれているからです。
ZTNAは、その名の通り「ゼロトラスト」の原則をネットワークアクセスに適用した技術です。つまり、ZTNAはゼロトラストという大きな「思想」を具現化した「技術」の一つであり、同時にSASEという「アーキテクチャ」を構成する重要な「部品」でもあるのです。
このZTNAが両者の架け橋となっているため、「SASE = ゼロトラスト」という誤解が生まれやすくなっています。正しくは、SASEはZTNAを内包することで、ゼロトラストの理念を実現する強力なソリューションである、と理解してください。
注意点:SASEを導入すれば即ゼロトラスト達成、ではない!
ここで情報システム担当者として押さえておくべき重要な注意点があります。それは、**「SASE製品を導入したからといって、自動的にゼロトラストセキュリティが完成するわけではない」**ということです。
SASEはあくまで技術的な「仕組み」です。ゼロトラストを真に実現するためには、SASEの導入と並行して、以下のような組織的な取り組みが不可欠です。
- アクセス権限の棚卸しと最小化: 誰が、どのデータに、なぜアクセスする必要があるのかを再定義する。
- セキュリティポリシーの策定: 自社のリスクに基づいた明確なルール作り。
- 従業員への教育: 新しいセキュリティの考え方を全社に浸透させる。
- 継続的な監視と改善: ログを分析し、常にセキュリティ態勢を見直す。
ツール(SASE)は強力な武器ですが、それを使いこなすための戦略(ゼロトラストの思想に基づいた運用)があってこそ、初めてその価値が発揮されるのです。
情シス担当者のためのゼロトラト/SASE導入検討ガイド
理論は理解できても、「では、自社では何から手をつけるべきか?」という点が最も悩ましいポイントでしょう。ここでは、具体的な課題に合わせたアプローチと、導入のステップについて解説します。
あなたの会社はどっち?課題別に見る最適なアプローチ
自社が抱える課題によって、ゼロトラストとSASEのどちらからアプローチすべきかは異なります。
ケース1:社内システムのアクセス制御を厳格化したい → まずはゼロトラストの考え方から
- 課題: リモートワークは限定的だが、内部不正対策や、重要サーバーへのアクセス管理を強化したい。
- アプローチ: まずはゼロトラストの思想に基づき、現状の課題を整理することから始めましょう。
- ID管理の強化: 多要素認証(MFA)の導入や、特権ID管理の見直し。
- アクセス経路の限定: マイクロセグメンテーションを導入し、サーバー間の不要な通信を遮断する。
- エンドポイント対策: EDRを導入して、端末の不審な挙動を検知する。
このように、SASEのような包括的なアーキテクチャを導入する前に、ゼロトラストの個別要素(ID、デバイス、ネットワーク)から強化していくのが効果的です。
ケース2:拠点間の通信とクラウド利用のセキュリティを両立したい → SASEが有力な選択肢
- 課題: 複数拠点があり、リモートワーカーも多い。クラウドサービスの利用が活発で、従来のVPNや境界型ファイアウォールでは性能・セキュリティの両面で限界を感じている。
- アプローチ: このようなケースでは、ネットワークとセキュリティを統合的に解決できるSASEが非常に有力な選択肢となります。
- SASE製品の比較検討: 自社の要件(必要な機能、拠点数、ユーザー数など)を洗い出し、複数のベンダーを比較する。
- インターネットブレイクアウトの実現: 各拠点から直接インターネットへアクセスできる構成に変更し、通信のパフォーマンスを向上させる。
- セキュリティポリシーの一元化: クラウド上の管理画面で、全ユーザー・全拠点に共通のセキュリティポリシーを適用する。
失敗しないための導入3ステップ
闇雲に製品を導入しても、期待した効果は得られません。以下の3ステップで、着実に導入を進めましょう。
ステップ1:現状の可視化と課題の洗い出し
まずは自社のIT環境を正確に把握することがスタート地点です。
- 資産の棚卸し: どのようなサーバー、アプリケーション、クラウドサービスを利用しているか。
- 通信の可視化: 誰が、どこから、何にアクセスしているのか。
- 課題の整理: 通信が遅い、セキュリティポリシーがバラバラ、運用負荷が高いなど、具体的な課題をリストアップする。
ステップ2:目的の明確化とスモールスタート計画
次に、「何のために導入するのか」という目的を明確にします。
- 目的設定: 「リモートワークの生産性向上」「クラウド利用のセキュリティ強化」「運用コストの削減」など、具体的なゴールを設定する。
- スモールスタート: 最初から全社展開を目指すのではなく、特定の部署や拠点など、限定的な範囲から試験的に導入し、効果を測定しながら段階的に拡大していくのが成功の鍵です。
ステップ3:製品・ベンダー選定で押さえるべき重要ポイント
目的と計画が固まったら、製品・ベンダーを選定します。
- 機能の網羅性: 自社が必要とするSASEのコア機能(SWG, CASB, ZTNAなど)を網羅しているか。
- パフォーマンスと安定性: 世界中にアクセスポイント(PoP)が分散配置されており、安定した通信が提供できるか。
- サポート体制: 導入支援や、障害発生時のサポート体制は充実しているか(日本語対応は可能か)。
よくある質問(FAQ)
Q1. ゼロトラストとSASE、どちらから先に取り組むべき?
A1. 抱えている課題によります。前述の「課題別に見る最適なアプローチ」で解説した通り、内部のアクセス制御が主目的ならゼロトラストの思想に基づく個別対策から、分散した環境(多拠点、リモート、クラウド)全体の課題解決を目指すならSASEアーキテクチャの導入から検討するのが一般的です。ただし、最終的には両者は連携し、統合されていくべきものです。
Q2. 導入にかかるコストや期間の目安は?
A2. コストはユーザー数や利用する機能、契約期間によって大きく変動します。SASEはサブスクリプションモデルが主流で、初期の機器購入コストを抑えられる一方、月々のランニングコストが発生します。期間については、スモールスタートであれば数週間〜数ヶ月で導入可能な場合もありますが、全社展開となると、要件定義から導入、安定稼働まで半年〜1年以上かかることもあります。まずは複数のベンダーから見積もりと提案を取り、比較検討することをお勧めします。
Q3. 既存のセキュリティ製品と共存は可能?
A3. 可能です。多くの企業では、既存のファイアウォールや認証システムなどを活かしつつ、段階的にSASEやゼロトラストのコンポーネントを追加していくアプローチを取ります。例えば、まずはID管理基盤を強化し、次にSWGやZTNAを導入するといった進め方です。SASEベンダーも既存環境との連携を考慮したソリューションを提供している場合が多いので、選定時に確認しましょう。
まとめ:ゼロトラストとSASEを正しく理解し、次世代セキュリティの第一歩を踏み出そう
本記事では、「今さら聞けない」と感じていたかもしれないゼロトラストとSASEの違いと関係性について、情報システム担当者の視点から徹底的に解説してきました。
本記事の要点まとめ:ゼロトラストとSASEの違い、もう迷わない!
- ゼロトラストは「思想」: 「何も信頼せず、すべてを検証する」という、これからのセキュリティの土台となる考え方です。
- SASEは「仕組み」: ゼロトラストの思想を実現するために、ネットワークとセキュリティをクラウドで統合した具体的なアーキテクチャです。
- 関係性: SASEは、その構成要素であるZTNAを通じて、ゼロトラストを実現するための極めて有効な手段の一つです。
- 注意点: SASEを導入するだけでゼロトラストが完成するわけではなく、自社のポリシー策定や運用体制の構築が不可欠です。
この2つのキーワードを正しく理解し、使い分けることが、複雑化するIT環境から自社を守り、ビジネスの成長を支える情報システム部門にとっての重要な責務と言えるでしょう。
情シス担当者が今日から始めるべきアクションプラン
この記事を読み終えた今、あなたが次にとるべき行動は明確です。
- 自社の課題を再確認する: 本記事の「導入検討ガイド」を参考に、自社が抱えるセキュリティやネットワークの課題を具体的にリストアップしてみましょう。
- 関係者と議論の場を持つ: 整理した課題をもとに、チーム内や上司と「うちはまず何から手をつけるべきか」を議論するたたき台にしてください。
- 専門家の知見を活用する: 自社だけで進めるのが難しいと感じたら、迷わず外部の専門家に相談しましょう。最新の動向や他社事例を踏まえた客観的なアドバイスは、プロジェクトを成功に導く大きな助けとなります。
ゼロトラストやSASEへの移行は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。しかし、その一歩を踏み出すことで、企業のセキュリティは確実に未来へと前進します。
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