
ZTNAとは?「脱VPN」が必要な3つの理由と導入メリットをわかりやすく解説
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ZTNAとは何か? なぜ今「脱VPN」が必要なのか? 3つの理由と導入メリットをわかりやすく解説します
リモートワークやクラウドサービスの利用が定着し、企業のIT環境は大きく変化しました。一方で、従来のリモートアクセス手段であるVPNについて、次のような課題を感じていませんか?
VPN接続時に業務アプリやWeb会議が遅くなる
VPN機器の脆弱性や不正アクセスが心配
入退社や組織変更に伴うアクセス権限の管理が複雑
外部パートナーへのアクセス許可を安全に設定したい
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、ZTNA(Zero Trust Network Access:ゼロトラストネットワークアクセス)です。
ZTNAは、ユーザーや端末を無条件に信頼せず、アクセス要求ごとに検証したうえで、許可されたアプリケーションだけに接続させる仕組みです。
本記事では、VPNが抱える限界、ZTNAの仕組み、VPNとの違い、導入メリットと注意点をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ZTNAの基本概念
- 脱VPNが求められる理由
- VPNとZTNAの違い
- ZTNA導入のメリットと注意点
- 自社でスモールスタートする方法
- ZTNAとSASE・SSE・SDPの関係
なぜ今「脱VPN」が必要なのか?VPNが抱える3つの限界
VPNは、社外から社内ネットワークへ安全に接続する手段として長く利用されてきました。しかし、リモートワークやクラウド利用が広がった現在、次の3つの限界が顕在化しています。
1.パフォーマンスの限界:接続が遅くなりやすい
リモートワークの普及により、VPNへの同時接続数が増加しました。その結果、VPNゲートウェイや回線に負荷が集中し、次のような問題が起きています。
業務アプリケーションの表示が遅い
Web会議が途切れる
大容量ファイルの送受信に時間がかかる
VPN接続自体が不安定になる
特にMicrosoft 365やSalesforceなどのクラウドサービスを利用する際、VPNでは通信がいったん社内ネットワークを経由することがあります。
このような「ヘアピン通信」によって、通信経路が遠回りになり、遅延やVPN機器への負荷が発生します。
2.セキュリティの限界:侵入後の被害が広がりやすい
従来のVPNは、「社内は安全、社外は危険」という境界型防御を前提としています。
一度VPN認証を通過すると、ユーザーに社内ネットワークへの広いアクセス権が与えられるケースがあります。もしID・パスワードが漏えいした場合、攻撃者が複数のサーバーやシステムへ侵入を広げる「ラテラルムーブメント(水平移動)」につながる可能性があります。
また、VPN機器の脆弱性を狙った攻撃も継続しています。警察庁の資料では、2024年上半期に確認されたランサムウェア被害の感染経路として、VPN機器やリモートデスクトップが多くを占めています。
VPNは重要なセキュリティ対策の一つですが、VPNを導入しているだけで安全とは限りません。
3.運用管理の限界:アクセス権限の管理が複雑
従業員の入退社、異動、外部パートナーとの協業、クラウドサービスの追加など、企業のIT環境は頻繁に変化します。
VPN環境では、ユーザーや拠点ごとの設定変更、アカウント管理、機器の保守などに手作業が発生しやすく、次のようなリスクがあります。
退職者のアカウントが残る
必要以上の権限を付与してしまう
設定変更の漏れが起きる
拠点やユーザーが増えるほど管理負荷が高まる
アクセス権限を適切に管理するには、誰が・どの端末から・どのアプリケーションへアクセスするのかを、継続的に見直す必要があります。
ZTNAとは?「何も信頼せず、常に検証する」アクセス制御
ZTNAは、ゼロトラストの考え方に基づくリモートアクセス技術です。
ゼロトラストでは、ネットワークの場所だけでユーザーや端末を信頼しません。社内・社外を問わず、アクセス要求のたびに次のような情報を確認します。
- ユーザーは誰か
- 利用端末は安全か
- どのアプリケーションへアクセスするのか
- 利用場所や時間に問題はないか
- ユーザーに必要な権限があるか
検証の結果に応じて、業務に必要な最小限のアプリケーションだけへアクセスを許可します。
VPNとZTNAの違いを「空港」にたとえると
VPNは、空港の入口で社員証を確認する仕組みに似ています。入口を通過すると、空港内のさまざまな場所へ移動できる状態です。
一方、ZTNAは搭乗ゲートごとにパスポートや搭乗券を確認する仕組みに近いといえます。
空港内に入っただけでは、どの飛行機にも乗れるわけではありません。本人確認と搭乗資格の確認を経て、許可された便にだけ搭乗できます。
ZTNAも同様に、ユーザー・端末・アクセス先・利用状況を確認し、許可されたアプリケーションだけに接続させます。
ZTNAの基本原則
NISTの「SP 800-207 Zero Trust Architecture」では、ゼロトラストの考え方として次の原則が示されています。
明示的に検証する
ユーザーのID、端末の状態、場所、アクセス先など、利用可能な情報をもとにアクセスを判断します。
最小権限を付与する
業務に必要な範囲に限ってアクセス権を付与します。万一アカウントが侵害されても、被害を抑えやすくなります。
侵害を前提にする
攻撃者がすでに内部へ侵入している可能性を想定し、ネットワーク内を自由に移動できないようアクセスを分離します。
ZTNAとVPNの違いを比較
比較項目 | ZTNA | VPN |
|---|---|---|
アクセス範囲 | 許可されたアプリケーション単位 | 社内ネットワーク単位 |
認証 | アクセス要求ごとに検証 | 接続時の認証が中心 |
セキュリティ | 最小権限・ゼロトラスト | 境界型防御 |
通信経路 | クラウド利用に適した経路 | 社内経由で遅延しやすい |
管理方法 | ポリシーを一元管理しやすい | 機器や設定の管理が必要 |
外部ユーザー対応 | 必要なアプリだけ許可しやすい | 広いネットワーク権限になりやすい |
ZTNAを導入する5つのメリット
1.アプリケーション単位でアクセスを制御できる
ZTNAでは、ユーザーを社内ネットワーク全体へ入れるのではなく、許可されたアプリケーションだけに接続させます。
業務に不要なサーバーやシステムを見せないことで、過剰な権限付与を防ぎやすくなります。
2.ラテラルムーブメントのリスクを抑えられる
仮に認証情報が悪用されても、アクセスできる範囲が限定されていれば、攻撃者が別のサーバーへ侵入を広げることは難しくなります。
攻撃対象領域を小さくできる点は、ZTNAの大きなメリットです。
3.クラウド利用時の通信遅延を抑えやすい
ZTNAは、クラウドサービスへのアクセスを前提に設計された製品が多く、従来のVPNで起きやすいヘアピン通信を避けられる場合があります。
Microsoft 365やSaaSを多く利用する企業では、通信経路の最適化によって利便性の向上が期待できます。
4.多様な働き方に対応しやすい
オフィス、自宅、出張先など、場所に左右されず一貫したアクセス制御を適用できます。
また、BYODや外部パートナーとの協業においても、必要なアプリケーションだけを限定的に公開できます。
5.アクセス権限を一元管理しやすい
クラウド型のZTNAでは、ユーザー・グループ・端末・アプリケーションなどの条件に基づいて、アクセスルールを管理できます。
入退社や異動時の権限変更を迅速に行いやすくなり、情報システム部門の運用負荷軽減につながります。
ZTNA導入前に確認すべき3つの注意点
1.ポリシー設計が不十分だと効果を発揮できない
ZTNAは導入するだけで安全になるものではありません。
誰にアクセスを許可するか
どのアプリケーションを利用させるか
端末の安全性をどう判定するか
どの条件でアクセスを拒否するか
といったルールを、自社の業務に合わせて設計する必要があります。
2.導入後も継続的な運用が必要
ZTNAでは、ライセンス管理、アクセスログの確認、ポリシーの見直し、端末エージェントの管理などが必要です。
導入前に、誰がどの業務を担当するのか、運用体制を決めておきましょう。
3.既存システムとの互換性を確認する
ZTNA製品によって対応する通信方式やアプリケーションが異なります。
Webアプリケーションだけでなく、ファイルサーバー、特殊なクライアントサーバー型システム、独自プロトコルなども含めて、事前に利用環境を確認することが重要です。
ZTNAを導入すればゼロトラストが完成する?
ZTNAは、ゼロトラストを実現するための重要な要素技術です。ただし、ZTNAだけでゼロトラスト全体が完成するわけではありません。
必要に応じて、次のような対策も組み合わせます。
- EDR・端末管理によるエンドポイント保護
- MFAによる多要素認証
- IAMによるID・権限管理
- SWGによるWebアクセス制御
- CASBによるクラウド利用の可視化
- マイクロセグメンテーションによる通信分離
自社の課題を整理し、優先順位をつけて段階的に進めることが現実的です。
中小企業でもできるZTNAのスモールスタート
全社一斉に導入する必要はありません。まずは対象を絞って効果を検証しましょう。
特定部署から始める
リモートワークの多い営業部門や、機密情報を扱う開発部門などから開始します。
特定アプリケーションから始める
セキュリティリスクや利用頻度が高い業務アプリケーションを対象にします。
外部パートナー向けアクセスから始める
協力会社や業務委託先には、必要なシステムだけを限定公開します。
事前診断で優先順位を決める
現在のVPN構成、公開状況、認証方式、端末管理、権限設定などを確認し、リスクの高い箇所から対策します。
ZTNA・SDP・SASE・SSEの違い
SDPとは
SDPは、Software-Defined Perimeterの略です。ユーザーと許可されたアプリケーションの間に、論理的な境界を設けるアーキテクチャを指します。
ZTNAとは
ZTNAは、ゼロトラストの考え方に基づいて、ユーザーとアプリケーション間のアクセスを制御する技術やサービスの総称です。
SSEとは
SSEは、ZTNA・SWG・CASBなどのセキュリティ機能をクラウドで提供する考え方です。
SASEとは
SASEは、ZTNAやSSEに加え、SD-WANなどのネットワーク機能も含めて、ネットワークとセキュリティを統合するアーキテクチャです。
まずはリモートアクセスの改善から始めるならZTNA、Webアクセスや拠点ネットワークまで含めて見直すならSSE・SASEが候補になります。
ZTNA導入前に、自社のセキュリティ状況を確認しましょう
ZTNAの導入を検討する前に、次の項目を確認すると、自社に必要な対策が見えやすくなります。
- VPN機器をインターネットへ公開しているか
- VPN機器や関連ソフトウェアを適切に更新できているか
- MFAを導入しているか
- 退職者・異動者のアカウントを迅速に無効化できるか
- ユーザーごとのアクセス権限を把握しているか
- 接続端末の状態を確認できているか
- 不要なポートやサービスが公開されていないか
- ログを取得・監視できているか
これらを把握しないまま製品を選ぶと、導入後に想定外の追加コストや運用負荷が発生する可能性があります。
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